2010年6月9日水曜日

「三年殺し」

伝説の空手の技に,「三年殺し」というものがある.
ある部位を攻撃し,その際にはあまり痛みを感じないけれど,
三年くらい経つと死に至るという特殊な技である.
どうも内臓が少しずつ悪くなっていくらしい.
(一説によると腐っていくのだとか...)
使い道はよくわからないけれど,
つまりは誰が殺したか分からないようにして,
殺人を行う,ということなのだろう.

この話を聞いたのは(あるいは読んだのは)
いったいどこ・何なのだろう.
たぶんどこかのマンガに出てきたのではないかと思われる.
空手ではなく中国拳法だったのかもしれない.
とにかく不思議な技である.

もしもこの技を行うのであれば,
少なくとも外部からの直撃の力で内臓にダメージを
与えるのではなく,外部よりもむしろ内部にのみ
浸透させるような衝撃を与える必要がある.
そんなことは当然絵空事と私は思う.

(あるいは中国拳法のように,どこかの経穴をつくかをすれば
生理的な作用で死に至ることはありうる.
たとえば,神経系を痛めるとか,ホルモン分泌系を痛めるとか)

しかし,武術の技というものは,すごいもので,
松濤館流の金澤弘和先生が,板を三枚重ねて持たせ,
その真中の板だけを正拳突きで割るという試し割りの演武を
されたという記事を前に読んだ.
一体,三枚に重ねられた板にどのような荷重が加えられたら,
真ん中の板だけが割れるものなのか,
全然想像もつかないのだけれど,
いくらかの確率で成功するらしい.

これが直接「三年殺し」に結びつくというわけではないのだけれど,
武術の技というのは,本当に巧妙精緻なものだと思うのである.
本当に面白い.


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