2017年5月18日木曜日

キカイダー01は太陽電池で動いていた

今朝,キカイダー01の主題歌をたまたま耳にした.歌詞を聞いて驚いた.キカイダーはご存知の通り,身体が赤と青に塗り分けられた人造人間なのだけれど,頭部は透明のカバーがかかっていて,内部の機械が透けて見えるようになっていた.私はそれが単なるデザインだと思っていたのだけれど,なんとキカイダー01はこの頭部に取り付けられた太陽電池によって動いているという設定だったらしい.歌詞にも「光り輝く太陽電池」とあった.

まず太陽電池が輝くというのはあまりよくない.それだけ光を反射してしまい,受光するエネルギーが減ってしまう.つや消し黒が良いのではないだろうか.

そして何より太陽電池が小さすぎるのが問題だ.例え頭部全体が太陽光を受光するにしても多分その面積は頭囲60cmとして円周60cmの円の面積はだいたい300cm^2 = 0.03 m^2となる.これが必要な電力に対してかなり小さいのだ.

日光のエネルギーはどのくらいなのかご存知だろうか.実は晴れた日の正午でだいたい地上1m^2あたり1000W~1200W程度と言われている.現在の太陽電池の変換効率が17%だとしても170W程度しか電力に変換できないことになる.1000Wのドライヤーひとつ駆動できないのである.

さて,キカイダー01.太陽電池の効率が将来の量子ドット太陽電池などが実現されたとして60%くらいまであがったとしよう.それでも,頭部の太陽電池で発電できるのは,0.03 m^2 * 1200 W/m^2 * 60%/100 = 21.6 Wということになる.たかが20Wなんて,蛍光灯ぐらいしか使い物にならない電力である(現実的な変換効率15%では約4分の1の5Wしか発電できないことになる.iPhoneの充電くらいにしか使えない).

馬力に直すと,1馬力 = 735 W程度だから,21.6/735 = 0.03馬力でしかない.そんなパワーで敵を倒せるのだろうか?

いや,そもそも人間の1日の必要カロリーが2000 kcal =8.4 MJとして,24時間*60分*60秒 = 86400秒で割ると,平均97 W程度.すなわち人は平均100W で動いていることになり,キカイダーは人間より少ないカロリーで動いていることになる.これじゃ,人よりも大きな力を出せるはずがない.もしも24時間充電できたとして,8.4MJを1秒間にパルス的に放出できれば8.4MW=11428馬力だせるけれど,1秒で敵を倒さなければならないのみならず,86399秒は静止して充電していなければならないのである.これじゃ地球は救えない.

しかし,子供の頃からこんな話を見聞きしてきたのだから,普通の人が太陽電池に過度な期待をしてしまうのも仕方ないのかなと思う.たぶんキカイダー01も,どこかのプラグインハイブリッド自動車と同じで太陽光発電は単なるお飾りで,実はコンセントを差し込んで充電していたに違いない.

ちなみに鉄腕アトムは10万馬力.動力源は原子炉である.

1 件のコメント:

  1. 弟のジローは原子力電池ですしね・・・。
    しかも、500ccビール缶くらいの大きさです(実写版だと)。
    これでどれくらいの出力がでるのか、謎です(笑

    返信削除

アイアンマン2

 「アイアンマン」を観た あとに 「アイアンマン2」(2010年) を観た。「アイアンマン」がヒット作となり,続編が作られた。だいたい続編というのは面白さがいくぶん減るのだけれど,この続編は1作目に負けないくらい面白かった。 敵役を演じるのがなんといってもミッキー・ロークなのであ...