人は健全な自己肯定感をもつことが大切であって,これを損なうと心の安定を失う.
「うつヌケ」(田中圭一著)を読んでもそのように書いてあった.この自己肯定感をうしなうと,すなわち自分が嫌いになると「うつ」になりやすいと.
武道においてはこの自己肯定感がなければ,到底真剣の場に立つことはできないだろう.心身の修行は自己肯定感をもつために行っているのではないかと最近思っている.
しかし,過剰な自己肯定感,あるいは有能感は害となる.卑近な例だけれど,自動車を運転すると過剰な有能感にひたれるらしい.毎日,ここかしこでそうした乱暴な運転を行っている車を見かけるけれど,運転手の姿を見るとどうも見た目は普通そうな人が多い.見るからに危なそうな人というのはめったにいない.どこにでもいるような人が,車という密室空間の中で,自分ではなくその車の性能によって有能感に浸っているのではないかのように思われる.もちろん,運転自体を楽しむ人もいるだろう.しかしそうした人たちは朝の渋滞で無謀な車線変更を繰り返し,みんなを恐れさせるような運転はしないのではないだろうか.
私の個人的な感想だけれど,やっぱり性能の良い車に乗っている人は危ない運転をしている率が高いような気がする.乗っている車のクラスがベンツやポルシェまでいくと,そんなに乱暴な運転をしている人は少ないような気がするけれど,やはり走り屋仕様のような格好の車は怖い運転をする.そして,これこそ個人的な印象だけれど,「L」というマークが入った車が一番怖いと思っている.初老の男性が運転している場合が多くて,運転も荒い.後ろから迫ってくると「来た来た」と警戒してしまう.
もしも混雑している人々の中であんな歩き方,走り方をしていたら,だれかが注意するだろう.いやそんな歩き方をそもそもしないに違いない.素のままの自分ではそのようなことはしないのだ.車という機械で身を固めたときに有能感に満たされ,行動が荒くなるのである.車の運転には人の本性が現れるという.怖い,怖い.
2017年5月29日月曜日
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