アントニオ猪木に関する記事を連続して書く。
なんだかんだいって,私の世代であればアントニオ猪木の思い出ってそれなりに多くある。猪木の伝説としては,例えばヒンズースクワットを1万回できたとか,関節が俗にいう「ルーズジョイント」で猪木には関節技が効かないとか,そんな話が思い出される。
では「猪木の最高の必殺技とは何なのか?」ということに関する答えを私の限られた知識で考えたい。
最も有効な技は,ズバリ「チョークスリーパー」である。実は喉を締める「チョーク」はプロレスでも反則技である。その反則技を猪木は審判に見せないようにギリギリのところで使うのが,ファンにとってはシビれるのである。猪木は実は「チョーク」である必要は全然なかった。彼は「スリーパーホールド」の使い手だった。馳戦では,本当に一瞬(2秒もかからないくらい)で馳を「落としている」。チョークは喉の気管を締めるのだけれど,本当のスリーパーは頸動脈を腕で抑えて締める。その結果,脳に血がのぼらなくなって一瞬で相手の意識を失わせることができるのである。猪木はその技術が本当に素晴らしいのである。彼はその技術に絶対の自信を持っていたのか,ここぞというときにスリーパーを出している。あのカッコいいスリーパーはもう見ることができないのか…
そして最も美しい技はなんといっても「ジャーマンスープレックスホールド」だと思う。この技の使い手は多くいるのだけれど,中でも猪木のブリッジはピカイチに美しい。スープレックスからフォールに持っていくためのブリッジの弧がやわらかく美しいのだ。ゴッチ直伝ということだったと思うけれど,ゴッチの弟子の中でもその美しさは一番なのである。私の中では,猪木と言えばこの美しいスープレックスを思い出すのである。
以前,スープレックスを練習したことがある。首で支えるブリッジを練習していた(首を鍛えれば殴られ強くなると聞いていたし)。柔らかく丸いブリッジを目指して練習したけれど結局低くつぶれたブリッジしかできなかった。猪木のブリッジは,目指すのもおこがましいものだった…(結局,できないままあきらめてしまった)
猪木がスープレックスでゆっくりと描く弧はみんなが目を離せなくなる美しさがあった。その完璧なスープレックスだけでも,アントニオ猪木はみんなの記憶に残り続けるだろう。
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