2024年6月8日土曜日

ブルックナー交響曲第7番 第3楽章スケルツォの魅力

 テレビからブルックナー交響曲第7番第3楽章の音楽が流れてきて驚いた。一般的には馴染みの薄い曲だと思っているのだけれど...  それは東京交響楽団新潟公演のCMで,どうも今度7月の定期演奏会に演奏されるらしい。

プログラムをみるとラヴェルの「クープランの墓 管弦楽版」とブル7らしい。ちょっと渋いクラシック音楽ファン向けの演目である。

私はブルックナーの交響曲はかなり好きな曲群で,これまでもこのブログで何度も取り上げてきている。特に3,5,7,8,9番が好きで,7番ではうっとりするような美しい旋律が魅力的な第1,2楽章が大好きである。ブルックナーの交響曲はどちらかというと「甘さ」がない厳しい音楽が多いと思っているのだけれど,この7番の第1,2楽章は彼の作品では珍しく女性的な柔らかさ,優美さを持っている。あまり知られていないのをいつも残念に思っている。

一方,第3楽章は勇壮なスケルツォである。第1,2楽章で優美さに心を奪われたあとに目が覚めるような荒々しさがある。そして彼の他の交響曲と同様に,同じメロディがこれでもか,これでもかと繰り返される。これがブルックナーが苦手な人の理由のひとつとなっている。

ゲオルグ・ショルティによる本作品の演奏映像を見たことがある(たぶんシカゴ交響楽団)。ショルティのインタビュー映像も入っていたのだけれど,彼が子供時代,親に演奏会に連れていかれてブル7を聴いた経験を話していた。彼は第3楽章の単調さに演奏会中ついつい居眠りをしてしまったのだそう。そして居眠りから起きてみてもまだ同じメロディーが繰り返されていたんだよ,と冗談交じりに話していた。それくらい単調で長い。

(余談だけれど,私は大学の研究室時代,研究に疲れると図書館にサボりによく行っていた。そこでクラシック音楽のレーザーディスクを見ていたのだ。この作品もレーザーディスクをパイオニアのプレーヤーを使ってヘッドホンで視聴した記憶がある)

それでも私は彼のスケルツォが好きである。ブル7のスケルツォは彼のすべての交響曲の中でも最も魅力的なのではないかと思うくらい。でもそれが合わない人には合わないんだろうなぁ。ブルックナーの交響曲の中では4番と並んで人気がある作品だと思うけれど,CMに流れた第3楽章の音楽で集客できるのかとちょっと心配してしまうのである。

#以前にも書いたけれど,ブル7の第4楽章は残念ながら第1~3楽章までに不釣り合いだと思っている。なんとなく"小品"感がある。もっと壮大な音楽だったら第7番交響曲こそ彼の最高傑作となっていたかもしれないと思うのだけど...

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