2008年1月22日火曜日

ビハインドからのスタート,7分の1の削減

今年は京都議定書COP3の実行の初年度にあたる.
チーム―6%という言葉もずいぶんと一般化した.
(残念ながら最近はあまり話題になっていないけれど)

省エネとCO2削減の一対策として,
私が関連するパワーエレクトロニクス技術(以下,パワエレ)が
期待されている.
毎年世界では17000TWhの電力が使用されているという.
(ちなみに日本における電気代は1kWhあたり二十数円である.
皆さんが払っている電気代から想像するとすごい量であることが
わかるでしょう.ちなみにT(テラ)という単位は10の12乗,
すなわちゼロが17000のあとに12個つく量である)

しかし,そのほんの数%とにしか
パワエレは使われていないのだという.
パワエレを使うとどれだけの電気が節約できるか,
10年前のエアコンと現在のエアコンの消費電力の差をみれば
一目瞭然であろう(昔の6割くらいまで減っている).

実はインバータエアコンの普及率は日本では90%以上に達しているが,
アメリカではなんと家庭用においては90%程度,
業務用を入れても70~80%程度は
インバータエアコンではないというのである.
アメリカのすべてのエアコンがインバータ化されたら,
いったいどれだけの電気量が節約できるか...
これが全世界となると...

もちろんパワエレの応用はエアコンだけではない.
これからも最も有望視されているのは,
ハイブリッド自動車,電気自動車である.
実はこうした電気を駆動力に用いた自動車は,
パワエレ技術のかたまりなのである.
トヨタのプリウスの燃費を考えれば,
それらがどれだけ効果的か理解できるだろう.

ただ,実際問題日本で-6%の削減はかなり厳しい.
日本は省エネ大国で,これ以上の省エネ,CO2削減は
乾いたぞうきんを絞るようなものだといわれている.

-6%というのも実は実態と違っていて,
1990年時点での排出量に対して-6%であって,
現在では,およそ14%程度の削減が必要だという.
(だいたいGDPの伸びに比例してCO2排出量は増えるらしい)
-8%,ビハインドからのスタートなのである.

14%といえばおよそ7分の1である.
一週間の生産活動を平均化すれば,
一週間のうち,丸一日何もしない日が必要なことになる.
(その日はガソリン,電気,何ひとつ使ってはいけない)
実際にはウィークデーが週5日とすると,
平日の1日を仕事を休むくらいの意気込みがなければ
達成できない数字ということになる.

個人的にはその方がずいぶん嬉しいが,
それによって月給が下がるのは困る.
国としても約7分の1の商業活動が無くなってしまっては
ずいぶんと困ることだろう.

できれば生産性を今に比べて16%程度向上できればよいのだが...
(短い労働時間で同様の成果を生むことができる)

この問題は本当に難しい.
結局のところ,夜間の商業活動を控えるとか,
テレビ放送をやめるとか,
そうした政府が介入した措置がいずれ必要になるのだろうと思う.
ビハインドからのスタート.
かなり厳しい問題なのである.

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