2009年10月15日木曜日

すべてを開く鍵は見つかるか

ある講習会で伺った話.

最近の若い人は,ひとつの究極の原理さえ知れば,
すべてが理解できると考えている人が多い.
それを教えてくれという.

とのことである.
日々,若い人と触れ合う機会が多い私にとっても,
思い当たる節は多々ある.

やっぱり受験勉強のせいなのかな...
答えが予めあって,それに向かって
最短距離で進むことばかり練習していると,
そのような価値観が生まれるのかもしれない.

もしも,「この世の中は単純な原理で支配されている」
とするならば,なんてこの世界は理想的なのだろうと私も思う.
そうだったらいいのに,と思うこともある.
究極の原理さえあれば,この世の中のすべてが理解できるし,
そして絶え間なく私たちを苛む不安からも
解放されることができる.

でも実際はどうなのだろう?

もちろん,ある面からみれば,この世界はやはり単純な原理によって
支配されていると考えることができる.
物体は運動法則に支配され,電磁界はマクスウェルのたった4つの
方程式で記述されるのだ.
そうした考え方もひとつである.
究極の原理があるとしたら(アインシュタインも追い求めた),
物理学者が心に描く美しき世界に
それは存在するだろう.

しかし,それだって,
マクスウェルの4つの微分(あるいは積分)方程式だけでは,
やっぱりこの世の中は全然解けないのである.
複雑な境界条件が存在し,それがカオスを生み出す.
決して簡単に世界は私たちの前に姿を現さないのである.

当然,物理学の世界から離れたこの実世界では,
そんな究極の原理なんてあるわけがない.
しかし,まるでそれがあるように単純に信じることによって,
平安を求めようとする人が多くなっているような気がする.
それではうまくいかないことはわかりきっているのに.

そろそろそうしたことに目をそむけるのはやめて,
覚悟を決めたらどうかと思う.
複雑な世の中だと割り切ってしまえば,
それはそれで面白いと私は思っているのだけれど.

"すべてを開く鍵がみつかる
そんな日をさがしていたけど
なんて単純で馬鹿な俺”

(強い気持ち,強い愛 by 小沢健二)

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