東工大とTDKに贈られた.
あまり話題になっていないので,
少しご紹介する.
IEEE Milestone Programとは,
世界最大の電気関係の学会のひとつである
IEEEが主催するIEEE History Centerにおいて,
電気分野で歴史的に顕著な貢献があった
発明,実績に対して顕彰されるものである.
これまでに数十の顕彰がされているようである.
そのリストについては,IEEEのWeb上で
見ることができる.
日本からの受賞としては,シャープの電子卓上計算機や
ビクターのVHSビデオ,富士山頂レーダ,セイコークォーツ,
ワープロ,依佐美送信所(最初の日欧の長波通信)
その他にも八木アンテナや新幹線などがある.
これらの受賞は非常に栄誉あることだと思うのだけれど,
全然話題になっていない.
電気関係のものとしては,残念至極である.
シャープの電卓が受賞した時には,
記念に金色の電卓が3000台発売されたのだけれど,
これもほとんど話題にならなかった.
(私はかなり欲しかったのだけれど...)
電気に関心をもつ人がもっと増えてくれればいいのに,
とつくづく思う.
さて,今回の東工大とTDKの受賞は,フェライト磁性材料の
発明とその工業化についてのものである.
東工大は,あまり知られていないけれどフェライトが発明された
大学である.
発明は加藤博士と武井博士によるもので,
その後TDKによって工業製品化されている.
1930~1945のことという.
以来,多くのモータ,リアクトルなどに使用されている.
確かに大学には,フェライト発明記念のコーナーが
あったような気がする.
東工大でさえ知らない学生も多いことだろうから,
こうした受賞を機に,大学や日本の電気工学に誇りをもつのも
良いことではないだろうか.
東工大の話ばかりをして,大阪大学はどうか,
と言われるかもしれない.
大阪大学もちゃんと受賞している.
2007年11月に,鉄道自動改札システムの開発に対して,
まず大阪大学と近鉄の研究に,
そしてオムロン,近鉄,阪急によるシステムの改善と実現に,
IEEE Milestoneが贈られている.
大阪大学については,白川功名誉教授の
研究業績によるものである.
そう,実は自動改札システムが初めて導入されたのは,
阪大生がよく利用している阪急北千里線なのである.
それは万博に向けて準備が進められていた1967年のことだという.
(私が生まれた年だから,41年も前のことだ)
このことを知らない阪大生も多いので,
ここで声を大にして言っておきたい.
阪急北千里駅の構内(改札を通って左側のところ)には,
ちゃんとマイルストーンの記念碑が置いてあるのである.
こうした名誉ある受賞については,
もっともっと宣伝をすべきではないだろうか.
そうすれば電気工学に興味をもつ若者がもっと増えるかもしれない.
日本には世界に誇るべき技術が
たくさんあったことを知ってほしいのである.
(もちろん,今後もあり続けるように努力したい)
#日本の電気学会でも「でんきの礎」という顕彰を始めている.
こちらについてもいつかご紹介したいと思う.
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