今,テレビの技術革新は3Dらしい.
映画などのコンテンツも3Dで制作されていくとすれば,
今後家庭においても3Dの需要は高くなっていくのは,
間違いない.
アメリカでは3Dのテレビ放映も始まったというから,
日本だけでなく世界でブレイクするのも
そう遠くないのかもしれない.
実は先日,大阪 梅田のソニースタイルで,
3Dテレビ(ただし参考展示)を見る機会があった.
黒いブースに50インチ以上はあると思われる
フラットテレビが設置されていた.
近づいてみると説明員の女性が,いかがですか?と
3D試聴用のグレーのメガネを勧めてくれる.
私は,こうした新しい家電に目がないので,
言われるままにうなづいた.
まず,説明員の方がメガネのフレームについている
ダイヤルを回して何かを調整してくれた.
(それが何を調整したのか,とうとうわからずじまいだった)
そして,メガネを受け取って画面をみると...
メガネなしでは,2重にぼやけて見えていた画像が,
はっきりと像を結び,確かに浮き上がって見える.
流れていた画像は,海外のサッカーの試合だった.
(トロフィーをもって走り回っている選手が写されていたから,
どこかの大会の決勝戦なのかな?)
立体的に大映しになる選手の顔や,
あるいはゴール裏からボールがネットを揺らす映像には
確かに3Dならではの臨場感があり,
ほほぅと唸ることも多かった.
しかし,見ているうちに3Dテレビの決定的な欠点というのも
明らかになってきた.
そのうちのひとつは,視覚に問題がある方への
対応である.
3Dの視聴は,たぶんテレビから視差のある映像を交互に流し,
(だから2重に画像がぼやける)
それに同期してメガネのレンズのシャッターのようなもの
(たぶん液晶シャッターかあるいは偏光グラス?)を
左右交互に開け閉めすることで,実現されているのではないだろうか?
ならば,両眼視ができない人は3Dの視聴はできないことになる.
たとえば片目が不自由な人や,あるいは乱視などで
両眼視がうまくできない人は,3D映像を見ることができない.
それならば通常の2D画面を見れば良いのだけれど,
テレビの画面はひとつだから,結局3Dを見ることができなくとも
メガネをかけなければならないことになる.
テレビ放映が始まる場合には,放送局はどのような対応を
迫られるのだろうか.
次に気づいた欠点は,3Dテレビの決定的なものであると思う.
それは,テレビで見える画像が3Dで臨場感があるばかりに,
逆に不自然に見えることである.
たとえば,見ていたサッカーの試合,選手たちは
ボールを追い求めてコートを走り回る.
しかし,選手たちは3Dなので,小さな箱庭のようなコートで
小人たちが走り回っているように見えてしまうのである.
3Dだからこそ,画面の中で動いている人物が
リアルな小人の人形にしか見えないのだ.
それはある意味,気持ち悪い映像である.
人間のミニチュアが動き回るのである.
私が視聴したのは,家庭ではあまり設置することが
少ないであろうと思われる,大きなサイズのテレビだった.
しかし,それでも不自然さを感じてしまう.
映画館のような大きな画面でなければ,
この問題は解決できないのではないだろうか.
それはだいぶ難しい話ではないだろうか?
2Dの画面は,紙に書かれた絵から,紙芝居,
そしてアニメと,私たちがそれを認識出来るように
発展してきている.
3Dはどうだろうか.
いつか私たちの認識がそれに追いつくときが
くるのだろうか.
技術の進展に,私たちの脳が追いつくときが.
この問題はまだ話題になっていないようだけれども,
いずれみんなが気づくに違いない.
(いや,もう話題になっているのかも)
それは3Dテレビの普及を妨げるものにならないのだろうか.
2010年1月18日月曜日
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