2010年1月13日水曜日

氷点下の中,池に入ったこと

寒い.
西日本はかなり冷え込んでいる.
手袋をしないで外を歩いていると,
手がかじかんでいくのがよく分かる.
よく手のひらが開かなくなってしまうのだ.

武道においては,寒中稽古がたびたび
開催される.
私が稽古している合氣道も例外ではないが,
以前は1月3日の早朝に「洗心の行」と称して,
栃木の本部道場で池の中に入るという行事があった.

私が大学1,2年生の頃は鬼怒川に飛び込むという
行事だったのだけれど,私が参加した頃には,
本部道場にある池に入るというものになっていた.

本部道場は栃木にあるので,朝の冷え込みは
大変に厳しい.
私が参加した年は,外気温が氷点下7度であった.
-7度ですよ!
この中に水着(さすがに,フンドシではない)を来て,
池の水の中に入るのである.
ただし,水の中は零度以上.
前日以前から池に水を入れておくと,
凍って入れなくなるので,前日の夜から
水を入れるという準備の良さ.
水着の上に道着を着て集合.
軽くランニングをしたあとに,師範の氣祓いと掛け声に
したがって水の中に突入していくのである.

寒いというよりは痛いという感じ.
ちょっと気を抜くと,意識を失ってしまいそうなくらい冷たい.
声を出しながらしばし水の中にたたずんで,
一斉に池の外に出る.
もうもうと白い湯気がみんなの身体から立ち上る.

手はかじかんでいるから道着を着ることができない.
足の指もかじかんでいるから草履を履いている感覚がない.
とにかく水を身体から拭きとって,道場へと向かう.
そこには,ぬる~い甘酒が用意してある.
これを飲む時が一番寒さを実感するのであった(笑).

このときに,感得したのは,
寒さの感覚も心でコントロールできる,ということ.
気を抜かない限りは,身体が大きく震えることはない.
一度,気を緩めてしまうと,身体がガタガタと大きく震えだし,
止まることができない.
そうした姿の何人かの参加者も見た.
一方,心を静めている限りはとりあえず普通に
動くことができるということを実感することができた.
心が身体を動かしているのだ.

その日は,その後初稽古を行って行事は終了する.
池の寒さに比べれば,大きな道場であっても全然寒くない.
身体を動かせばすぐに暖が戻ってくる.
また一年稽古に精進しようと決意するのである.

この行に参加したのはたった一度であったけれども,
今思えば,大変に役に立っているのだと感じる.
人間やればできるものだし,
心によって身体はコントロールできるのだと体得している.
(完璧ではないけれど)
若い頃にはなんでも経験すべきなのである.
(もう経験しなくてもいいかな,と思うけれど)

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