2010年2月18日木曜日

剣客商売,秋山小兵衛の生き方に憧れる

藤田まことさんがお亡くなりになったそうである.
本当に残念...

実は(というかバレバレですが),私は
時代劇の大ファンで,「必殺シリーズ」なんかは
中学生のころからよく父と見ていたものである.

藤田まことといえば,もちろん「必殺仕事人」の
中村主水役が当たり役だけれど,
近年は落ち着いた役柄が本当に似合っていて,
なんというか,人生の深みを感じさせる演技に
惚れ惚れしていたものである.

大河ドラマ「武蔵」の柳生石舟斎の役も,
新「椿三十郎」の軟禁された家老の役も,
それはそれは素晴らしかったけれど,
私の中では,彼の最も重要な役といえば
剣客商売」の秋山小兵衛にとどめをさす.

もともと池波正太郎の「剣客商売」シリーズの
小説が大好きで,全巻一応揃っている.
(うちの奥さんにも誕生日プレゼントに何冊か,
いただきました)

酸いも甘いも知り尽くした老剣客 秋山小兵衛の
人物の面白さ,奥深さを演じるのに,
藤田まことは本当にぴったりだった.
彼もこの役は自分のものだと言っていただけのことはある.

秋山小兵衛の生き方は,まさに私の憧れそのもので,
人生の艱難を知り尽くしても卑屈にならず
飄々と過ごしていく.
まさに「飄々」というよりほかがない生き方である.

老いても色気を失わない.
決して枯れ木にならない.
人生で楽しむべきものを知っている.
そうしたオジサン,オジイサンに私は30歳半ばを越えた頃から
憧れ続けているのだ.

藤田まことさんも,彼の生き方に憧れ続けていたに違いない.
そして,それはほぼ藤田さんの手中に
収まりつつあったのかもしれない.
そうでなければ,あの演技は実現しなかっただろう.

先日,「剣客商売」のスペシャル番組があった.
新聞の評に,藤田まこと演じる秋山小兵衛と,
中村梅雀演じるとの道場破りの浪人との語りのシーン,
それを見るだけでも,この番組を見る価値があると書かれていた.
きっとそうなのだろう.
それだけのものが出せる役者だったのだ.

また今度「剣客商売」を読み直してみよう.
あの洒脱な秋山小兵衛の生き方に習ってみるためにも.

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