コンピュータ将棋が強くなって人間が敵わなくなってきている.そして,コンピュータが指し示す新手が,将棋界に新しい流行を生み出すようになっている.そんな時代がもう来てしまった.チェス,オセロに続いてとうとう将棋も囲碁も人間はコンピュータに敵わない.あとはコンピュータ同士が将棋を指して,どんどん新しい手を開発していくのだろう.
コンピュータに指すことができて人間が指せない手があるということは,コンピュータが恐怖心をもっていないことに起因しているという.また美意識を持っていないことも大きく影響しているということだった.
人間は恐怖心・美意識に縛られているということである.大きな意味で2つとも「先入観」といえるかもしれない.あるいは人間のもつ文化的な価値観.そうしたものがないコンピュータは自由に発想できる(正確に言うとサーチできる)ということになる.
武術・格闘技の新しい戦術・戦略もコンピュータが新しいものを教えてくれるようになるかもしれないと,私はこの話を聞いて思った.まずコンピュータが私の能力・状態を正確に測定し把握する.次に私のその時の能力を考慮した上で,その状況に応じた最善手を私に教えてくれるのだ.ポータブルコンピュータが現場で教えてくれてもいいし,そうした状況で最善手が打てるように私を訓練してくれてもいい.人間の判断を補助してくれるようになれば新しい技・戦術・戦略が生まれるようになるだろう.
しかし,人間の判断は遅い.そしてよく間違う.したがってそういう状態になったらコンピュータが人間に指示して戦うことが最も効率がよくなることだろう.リメークされた映画「ロボコップ」でもそんな話が出てくる.人間に判断を委ねるスキームは,人間を介さずに敵を攻撃するアルゴリズムにとって代わられる.なぜなら人間の判断を介した戦闘は,コンピュータが自律的に行う戦闘よりも反応が遅く,劣るからである.機械に人間が負けるーーー普通に考えれば当然だけれど,それでも人間は機械を越える能力をもつというロマンを求めてしまう.そんな小説やマンガは山ほどある.
しかし,現実は冷徹である.いつか世の中の戦争はロボットが行うことになるのだろう.人間はロボットにほとんど勝つことはできないから,ロボット同士が戦って勝敗を決めることになるだろう.それはそれで人間が死ぬことがなくなるのでよいことかもしれない.
ただしロボットが人間のために死ぬことを疑問に思わずに,ロボット同士殺し合ってくれるかぎりの話である.
2017年6月22日木曜日
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