レナード・バーンスタインの映画が最近気になっている。そんなこともあって,バーンスタインについて私の印象を書いてみる(たぶん映画が契機となって,彼の再評価が始まるとは思うのだけど)。
今回は,指揮者としてのバーンスタインについて。
若い頃の彼は本当にカッコいい。TV番組「ヤングピープルズコンサート」の映像をみると,TVのこちら側に向かって話しかけているまなざしは非常に魅力的だ。話し方もいい。そして声もいい。当時アメリカ発の本格的指揮者だと言われていたこともり,注目が集まって人気が出なかったわけがないだろうと思う。
話す内容もかっこいいんだなぁ。私はこの番組でベートーベンの第5番交響曲の,ベートーベンが苦労をして最初の部分を書き直していたという彼の解説を聞いて,この曲を聴く印象が変わってしまった。秀逸な解説は曲の印象を容易に変えてしまう。それを説得力をもって行うところに彼のカリスマ性がある。
年齢を経てくるとより情熱をストレートに表現するようになってきて,指揮台上で両手を突き上げたり,そこで飛び跳ねたり,独特な指揮がまた魅力的である。マーラーなんて祈るように指揮したりしている。そこがまた彼唯一の魅力となっている(彼の弟子の佐渡裕 氏もそんな感じの指揮だけれど)。
リハーサルやスタジオ録音のときの姿もカッコいい。「ウェストサイド物語」の録音の映像なんて,すでに白髪のおじいさんになっているけれど,時々冗談を交えて指揮をしていて,なんてチャーミングな人間なのだろうと思ってしまう(しかし,指示は的確らしく,彼の言葉に対応する楽団の人たちの真剣さが映像から伝わってくる)。こんな風にトシをとることができたらと憧れずにはいられない。
でも実は,彼の指揮は私にとっては正直ハイカロリー過ぎて,バーンスタインのベートーベンをはじめとするドイツ音楽の録音はちょっとToo muchである。だから,あまり彼のCDには手が伸びない。反対に彼の録音で好きなのは,やはり定評のあるマーラー,そして私が好きなのは意外にショスタコービッチの作品だったりする。
全く反対の性格の指揮だと思われるカラヤンとは不仲だったと噂されていたらしいけれど,実際は尊敬しあっていた部分もあったとか。この二人が活躍していた70~80年代はクラシック音楽の指揮者が世界のスーパースターになれる時代だった。そしてバーンスタインは確かにその一人だったことを残された映像は示している(公開される映画もそれを確認するに違いない)。
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