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舟を編む ~現代における「言葉」の意味をあらためて考えた~

 あちらこちらで良作と話題になっていた「舟を編む」の地上波放送がとうとう終わってしまった。私もこれは毎週見逃すことができなかったドラマとなっていた。 衛星放送で以前に放映されたものを再編集して地上波放送したらしい。たぶんそれなりに多くの場面がカットされていたと思われる。途中,松田龍平なんて一場面しか出演していなかったけれど,もしかするとBS版ではもっと活躍していたのかもしれない。そう思うと,BS版もぜひ観てみたいと思う。 「舟を編む」は10年以上前に本屋大賞(だった?)を受賞していて,当時も「辞書編纂」というテーマが話題になっていたのをよく覚えている。だから,私もいつか手に取って読みたいと思っていた作品なのである。 しかし,本とは設定が違っているらしい。ドラマでは主人公は池田エライザ演じる辞書編集部に配属されてきた女性社員となっているが,原作では野田洋次郎演じていた先輩編集部員,馬締が主人公だったらしい。さらに新型コロナウィルスの感染の影響が描かれているなど,話題はアップデートされているらしいのだけれど,それらには全然不自然さを感じずに楽しむことができた。 このドラマをみて,「言葉」がもつ力について少しまた考えてみた。残念ながら人間は言葉を通じて話し合わなければお互いの意思疎通が基本的にできない。だからこそ,もう少し言葉の遣い方について気をつけたらよいのだろうとか,SNSでテキスト偏重のコミュニケーションが多くなってきたからこそ,正確に思いを伝えるための言葉選びが大切なだろうとか,この年齢になってもいろいろと考えてしまった。その意味でも素敵なドラマだった。 ところで,最近,Tverで池田エライザと田口トモロヲの「 名建築で昼食を ~大阪編~」が再アップされていて,全話見直してあらためて彼女の魅力を認識した。以前から注目していたけれど,俳優や歌手だけでなく,映画監督の分野でも彼女の才能を発揮しはじめているらしい。まだ20代とのこと,今後の活躍にたいへん期待している。 #彼女は左利きのようだ。「舟を編む」,「名建築で昼食を」を見ていて気付いた。

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド

 電気学会産業応用部門大会の開催地,徳島への飛行機の往復移動の機内で久しぶりに映画を観た。 「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」(2025) 相変わらず座席の前の小さなディスプレイで観るおかげで,マーベル系のアクション映画の迫力はほとんど感じることができない。どうもアクション映画は私の評価においてかなり損をしている。 今回のキャプテン・アメリカはスティーブではなく,その名称を引き継いだサム・ウィルソンであり,血清を打った「超人」ではなく「常人」であることがひとつのキーになっている。化け物たちと戦う普通の人間としての苦悩が(少し)描かれている。もちろん,ハリウッド映画なので,彼はヒーローとして描かれるのは間違いないのだけれど。 そして見どころは,やっぱりハリソン・フォード演じる大統領ロスである。彼が出てくるだけで画面に重みが感じられるようになる。ハリソン・フォードの「格」というものなのだろう。人間性というのはどうしてもにじみ出てくるものらしい。 この作品の前にどんな話があったのか,ロスがハルクに対して何をしてのか,など情報が無いままの視聴であったので,感動の度合いが小さくなってしまったのかもしれないが,前代のキャプテン・アメリカや,曲者のアイアンマンの人物造形の深さに比べて,第2次アベンジャーズの面々はどうしても脇役的な軽さを感じてしまう。この先,マーベルシリーズはこのまま続いていくのだろうか? ということで,今回の評価は★★★☆☆(星三つ。満点は五つ)。 #最近,全然映画館に足を運んでいない

長野への旅(6)~戸隠神社・奥社・九頭龍社~

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 中社から30分ほどあるいて,奥社参道の入り口にたどり着く。トイレでペットボトルに水を汲んで外に出て参道で泥にまみれた靴を何度も洗う。参道に入る前からもう泣きそうであった。 さて,奥社参道の入り口には駐車場があって戸隠そばが食べられる蕎麦屋なども並んでいるのだけれど,かなりの人で混雑していた。蕎麦屋になんてとても入れるような雰囲気ではなかった。それでも当日朝食は民宿でたっぷりといただいていたので,腹もそれほど減っておらず,奥社に向かって参道を歩きだした。 奥社への参道はおよそ2km。ゆるやかな上り坂である。やはり前日の雨の影響でところどころで足元が滑る。ただ,大きな杉が続くこの並木は有名らしく,木陰の中を歩いていくのは気持ちがよかった。ただし,人が多くて参道には人の列がずっと続いていたけれど。。。 途中,参道の道の半ばくらいに赤い門がある。その姿をみてやっと自分は以前にここに来たことがあるのではないかと思い出した。そう,大学1年の夏,合氣道部の合宿で戸隠に来ていて,合宿の中日のハイキングで戸隠神社を訪れたのだった。あのときも天気が悪く,雨で道が川となっていて,スニーカーが水没して汚れたのを思い出した。40年ほど前と同じだ。そして,この赤い門の前で撮った写真があったのを思い出した。私がここに来たのは初めてなんてではなく,39年ぶりだったのだ。 戸隠神社奥社参道途中の門。神社内で最も古い建物だという。 その後また15分歩いて,ようやく奥社に続く階段の登り口に到着。ここまで奥社の参道入り口からおよそ30分かかった。奥社は階段の上にあるのだけれど,階段の上まで人の列が続いていて,遅々として進まない。結局,またそこから1時間かけてようやく奥社の神前に着いた。 奥社の祭神は「天手力雄命(あめのたたぢからおのみこと)」で,あの天岩戸を開けて天照大神を洞窟の中から出した神である。その岩の一部が飛んできて戸隠山になったという伝説があるそうである。ようやく手をあわせて,その隣にある「九頭龍社」へと移動する。こちらはなんとほとんど人が並んでいなかった。 戸隠神社奥社 九頭龍社 実は今回私が戸隠神社に来ようと思ったのは,この九頭龍社にぜひ参拝したいと思ったからである。祭神は九頭龍大神。奥社の創建は一説によれば紀元前200年以上らしいのだけれど,この九頭龍社はさらにその創建は古く,ど...

長野への旅(5)~戸隠神社・中社~

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  戸隠神社に参拝に行こう と思いついたのは,野沢温泉に泊まり外湯に入っていた時である。ふと「戸隠神社」というロードサインを途中で見かけたことを思い出して,そうそう遠くないのだと気づいた。車ならば結構近いのではないか,と思い,調べてみると1時間ちょっとのドライブだったので,雨も当日上がるとの予報だったし,足を伸ばしてみることにした。 朝10時前に野沢温泉を出発し,戸隠神社の中社の駐車場に11時過ぎに到着する。前日の雨も予報通りあがって日差しが強く,とにかく蒸し暑かった。 中社の祭神は「天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)」。知恵の神様ということで,心からお参りする。境内にはご神木の巨木もあって森の中の社という印象で素敵な場所だった。 中社の鳥居 社につづく階段 中社 次に奥社に向かう。奥社参道入り口はおよそ2kmくらい離れたところにあるので,森の中の連絡道を歩いていった。かつての参道や通り道であり,途中女人禁制であったころの名残の伝説が残った石などを横に見ながら奥社に向かう。ただし,雨が降った翌日というのがまずかった。あちらこちらが泥でぬかるんでいて,私の革のスニーカーはべったりで泥で汚れ,ペットボトルの水で洗い流すなどの応急処置が必要になったほどだった。森の中の連絡道ではなく,整備された車道を歩くべきだったと何度も何度も後悔した。 #中社の駐車場は無料であるが,奥社のものは有料である

長野への旅(4)~野沢温泉外湯めぐりのはずだったけれど~

野沢温泉村の楽しみは,なんといっても温泉である。野沢温泉には無料で入ることができる(少々の寄付はあるけれど)外湯が13か所あり,その中の数か所を巡ることがこの旅の目的の一つであった。 実は野沢温泉には学生時代,たびたびスキーで訪れていたのでそうした情報を知っていたのである(まぁ,情報は三十数年前の古いままだけれど)。私の学生時代,毎年新年最初に研究室で集まるのが,指導教員の嶋田先生の定宿である野沢温泉の,とある民宿ということになっていた。もちろん研究ではなく,スキー目的に集まるのである。そこで研究室のみんなに「新年おめでとうございます」と挨拶し,初すべりに出かける。当時はスキーブームで本当に楽しかった。 野菜たっぷりとハンバーグメインの夕食を食べ終わったあと,当日長野市を歩き回っていた私は疲れ切っていたのだけれど,せっかくなので外湯に出かけることにした。まずは 「大湯」 。浴槽は「あつ湯」と「ぬる湯」の2つに分かれていて,ぬるい浴槽の方を試す。「じゃぶっ」と手を入れて,温度を確かめてみるととにかく熱い。「どこがぬるいんじゃ」と小言を言いながら,とても浴槽に入る勇気はない。浴槽についている冷水の蛇口をひねって浴槽をぬるめる。もしも地元の人がいたらとても水を入れる勇気はないけれど,幸いにして明らかに旅行できているどこかのサークルの男の子たちが4~5名いただけだったので,こっそりと水を入れたのだった。 なんとか蛇口の周りがぬるくなってきて私が入ることができるようになり,私もようやくお湯に入ることができた。それでも身体中がジンジン痛みを感じるほどの熱さだった。一体,どんな人間が「あつ湯」の浴槽に入ることができるのだろう??? 大湯を出て,雨の中を身体を冷やしながら夜の温泉街を歩く。学生時代の研究室の定宿もまだ健在であることを散歩中に確認した。なんだかうれしかった。 少しだけ身体が冷えてきたので,次の「松葉の湯」に向かう。実際には最初の大湯で身体が十分あたたまり,次の湯に行く必要はないかも,とも思っていたのだけれど,野沢温泉まで来て温泉1か所とはもったいないと思い,少し無理して「松葉の湯」に行ったのである。 松葉の湯も空いていた。湯温も大湯に比べて少し低かったので,こちらではゆっくりと浴槽に入ってのんびりすることができた(それでも十分に熱いお湯だが)。ここにきてようやく温泉を...

長野への旅(3)~野沢温泉の民宿への道に迷う~

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 長野への一人旅。長野市で県立美術館を観たあと,当日の宿を予約しておいた野沢温泉に移動する。長野市中心部から1時間ちょっとの道のり。長野市街以外は道路は空いていて,カーナビの予定通りに野沢温泉に着く。 ただ,野沢温泉街の道がとにかく狭い。私のカローラがギリギリ通れるかどうかという道ばかり。当然すれ違うこともできない。そして,それも急坂。エンジンに負担がかかる道だ。両脇は温泉の排水なのか側溝に水が流れていて,いつタイヤを落としてしまうかハラハラする。 目当ての民宿も全然見つからない。民宿に電話をかけて訊くのだけれど,今,どの道を進んでいるのか見当もつかない。結局民宿の人が道路まで出てきてくださって,誘導してくれた。私の顔も知らず,どんな車に乗っているかも伝えなかったにも関わらず,一発で私を見つけてくださった。よほど私は不安そうに運転席に乗っていたのだろう。 夕食の時間に間に合って,食堂へ。夕食を予約していたのは私だけだったようで,食堂には私の食事だけが用意されてた。たいへんおいしそうなサラダが並んでいる。疲れ切った私の身体が強く欲する。しかし,とにかくまずはビールを頼んだ。 至福の夕食。サラダとビールと魚のホイル焼き 至福の一杯のあと,ゆっくりと1時間ほどかけて地元の野菜をつかった美味しい食事をいただく。リンゴのコンポートとバニラアイスのデザートまで出していただいて大満足。もしも食事を予約していなかったら,疲れ切った私が野沢温泉街を夕食を食べる場所を探してさまよう羽目になっていただろうから,本当に予約しておいてよかった。次回は,宿おススメのワインを飲みながらしみじみ食べたい(今回はビールを一本で終わってしまったけれど)。

長野への旅(2)~長野県立美術館~

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 この夏休み,長野にひとり旅をした。朝に長岡を車で出発して,高速道路を使わずに長野市まで行く。所要時間はおよそ3時間。幸い天気は雨が少々,ほとんど曇りでドライブは快適だった。 長野ではまず善光寺に参拝した。海外の人も多かったけれど,東京や京都,高山ほどではない。長野駅から善光寺までの参道をゆっくりと歩き(とにかく暑かったけれど),道沿いの店々を覗きながら歩くのは楽しいものである。 善光寺で参拝した後(本堂内,山門内,資料館など入場料を支払えば参観できるけれど,人が多くて行かなかった),今回の長野におけるメインの目的,長野県立美術館に行く。 長野県立美術館はその建物が美しく,それだけで観る価値があり,すでに 私も訪れていた のだけれど,今回は展示も観ようと思い,再度訪れたのである。 長野県立美術館(NAM) まず企画展を観た。「NAMコレクション2025 第Ⅱ期」という展示で,チケットを購入し案内されるままに会場に足を踏み入れたのだけれど,そこで言葉通り言葉を失うほど,本当に驚いた。なぜならばそこには,マルセル・デュシャンの「 Fountain 」が展示されていたからである。 マルセル・デュシャンの"Fountain" 度肝を抜かれるとはまさにこのことだった。教科書にも載っているような現代美術の超有名な作品がこんな長野の美術館にあるなんて!確認のために何度も作品の周りをぐるぐるとまわった。 Wikipediaで調べてみると,さすがにデュシャン自身が作ったものではなく,デュシャン研究家の人が作った複製品8点のうちのひとつらしい。 京都国立近代美術館所蔵となっている。 しかし,本当に驚いたなぁ。ただ,この作品の歴史的な意味を知っているからこそ感動したのであって,正直作品自体に心が震えるというものではなかった。やっぱり便器にサインをしただけのものである。現代美術ってやはりわからない。。。 その他,常設展では長野ゆかりの芸術家の作品が展示されていて,ゆっくりとした時間を過ごすことができた。 さて,この美術館は2館に分かれた建物構成になっていて,もう一つは「東山魁夷館」となっている。こちらの展示も観覧した。 東山魁夷といえばあの美しい青緑色の森林と白い馬のモチーフが印象的であるけれど,それは50代を越えた頃からの作風であって,この展示では20代の若い頃の作品...