野沢温泉村の楽しみは,なんといっても温泉である。野沢温泉には無料で入ることができる(少々の寄付はあるけれど)外湯が13か所あり,その中の数か所を巡ることがこの旅の目的の一つであった。
実は野沢温泉には学生時代,たびたびスキーで訪れていたのでそうした情報を知っていたのである(まぁ,情報は三十数年前の古いままだけれど)。私の学生時代,毎年新年最初に研究室で集まるのが,指導教員の嶋田先生の定宿である野沢温泉の,とある民宿ということになっていた。もちろん研究ではなく,スキー目的に集まるのである。そこで研究室のみんなに「新年おめでとうございます」と挨拶し,初すべりに出かける。当時はスキーブームで本当に楽しかった。
野菜たっぷりとハンバーグメインの夕食を食べ終わったあと,当日長野市を歩き回っていた私は疲れ切っていたのだけれど,せっかくなので外湯に出かけることにした。まずは「大湯」。浴槽は「あつ湯」と「ぬる湯」の2つに分かれていて,ぬるい浴槽の方を試す。「じゃぶっ」と手を入れて,温度を確かめてみるととにかく熱い。「どこがぬるいんじゃ」と小言を言いながら,とても浴槽に入る勇気はない。浴槽についている冷水の蛇口をひねって浴槽をぬるめる。もしも地元の人がいたらとても水を入れる勇気はないけれど,幸いにして明らかに旅行できているどこかのサークルの男の子たちが4~5名いただけだったので,こっそりと水を入れたのだった。
なんとか蛇口の周りがぬるくなってきて私が入ることができるようになり,私もようやくお湯に入ることができた。それでも身体中がジンジン痛みを感じるほどの熱さだった。一体,どんな人間が「あつ湯」の浴槽に入ることができるのだろう???
大湯を出て,雨の中を身体を冷やしながら夜の温泉街を歩く。学生時代の研究室の定宿もまだ健在であることを散歩中に確認した。なんだかうれしかった。
少しだけ身体が冷えてきたので,次の「松葉の湯」に向かう。実際には最初の大湯で身体が十分あたたまり,次の湯に行く必要はないかも,とも思っていたのだけれど,野沢温泉まで来て温泉1か所とはもったいないと思い,少し無理して「松葉の湯」に行ったのである。
松葉の湯も空いていた。湯温も大湯に比べて少し低かったので,こちらではゆっくりと浴槽に入ってのんびりすることができた(それでも十分に熱いお湯だが)。ここにきてようやく温泉を満喫という感じ。松葉の湯に無理して来て良かった。
その後,宿にもどって布団に入る。近頃では珍しいほどリラックスして寝ることができた。本当は夜に,持参した本をゆっくりと時間をかけて読もうと思っていたのだけれど,疲れがそれを許さなかった。日付が変わらないうちに眠りに落ち,7時間以上一度も起きることなく眠ることができた。これは夜中に目が覚めやすく,朝早く目がさめてしまいがちな老人にとってはかなりうれしいことなのである。
翌朝,たっぷりと朝食をいただき,コーヒーまでいただいて,チェックアウトの10時近くまで落ち着いた朝を過ごすことができた。疲れもとれて,2日目の目的地,戸隠神社に向かった。
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