2016年11月21日月曜日

グレムリン2とトランプ氏

トランプ氏が次期大統領になることが決まって,それを映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」が予言していたなどという話が少し盛り上がっているけれど,それをいうなら私は「グレムリン2」をぜひみんなに紹介したい。そこにはトランプ氏ならぬ不動産王クランプ氏が登場し,グレムリンが暴れまくるビルは,トランプ・タワー,いやクランプ・センターなのである。

残念ながらそもそも「グレムリン2」を覚えている人はあまり多くないようだ(少なくとも私の周りには)。しかし,この映画は,パロディにつぐパロディ,それもいい大人がここまでやるかというくらい容赦のない筋金入りのパロディ作品なのである。

まず始まりからして,バックス・バニー(映画が始まる前に,映画館の禁止事項を説明するあのアニメキャラ)が出てきて観客をおちょくる。途中だって,(映画を観ているわれわれの!)映画フィルムは焼き切れ,グレムリンは映画館を占拠して,スクリーンをメチャクチャにしてしまう。ハルクホーガンが出てきて叫んで映画は元の話にもどるのだけれど,観ている私たちは一瞬何が怒ったのかわからなくなるのだ。最後のエンドロールでさえ,バックス・バニーがおちょくりにくる。一体この映画はなんだったのだろうと映画の最後には首をかしげてしまうのだ。

監督は,1作目についでジョー・ダンテ。彼は登場人物の口を借りて,言いたい放題言わせている。評論家もコケにしているし,自らの映画だって笑っている。好き放題作ったのだろう。

制作は1990年。驚くのは,すでにこのときトランプ氏は不動産王として名を馳せ,パロディにされるほど有名人だったということだ。映画の中では,クランプ氏はどこかぬけた憎めないヤツに描かれている。彼が大統領になるなんて,映画を観ていた誰も思わなかったに違いない。


2016年10月23日日曜日

2016年の映画鑑賞録 (2)

一年間に50本映画を観ようとする(個人的な)プロジェクト。第一弾に続き,2回目のツイートのまとめ。ツイートで短くても感想を書いてしまうと,以前のようにブログ記事にまとめようという気があまり起こらないから不思議。(記した日付はツイートした日時であり,必ずしも鑑賞した日ではない)とくかく鑑賞のまとめとなっている。さあ,いってみよう!

25.
スペクター
2016年5月28日
「スペクター」を観た。壮大なオープニングから始まる物語。今回はMI6チームの中で007が一番落ち着いている。MもQも良かったけれどボンド・ガールのレア・セドゥが一番いい。CのA.スコットはシャーロックのモリアティ役の人。D.クレイグのシリーズの中で最もスパイ映画らしいかも。

26.
ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション
2016年5月28日
「ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション」を観た。最後までスリリングな展開で楽しめた。トム・クルーズは相変わらず全力でアクションしている。そして役のイーサンは相変わらず女に甘い。J.レナーの存在が話に広がりを与えている。A.ボールドウィンは頭の堅いCIA長官役にぴったり。

27.
キングスマン
2016年5月29日
「Kingsman」2回目鑑賞。強烈な社会批判。上流階級だけでなく下流に対しても厳しい。そして感違いしている正義への冷笑。全てを笑い、スノッブは皆死んでしまう。残酷な殺戮がロックにのって行われるのが印象的。音楽も素晴らしい。真のKingsmanとは何か考えさせらせる大傑作!

28.
ボーン・アルティメイタム
2016年6月8日
「ボーン・アルティメイタム」を観た。シリーズの中で一番スタイリッシュな印象。ボーンの超人ぶりが少し気になったけれど、とにかくカッコいいので許す。CIAの女性パメラも別の意味でカッコいい。まあ、私には他のCIAのダメ男達の方が魅力的なのだけど。次回作が待ち遠しい。

29.
エクソシスト
2016年6月8日
「エクソシスト」を観た。ホラーの古典。実話がもとで、当事者の神父に見せたところ、演出が過ぎているところもあるけれど、よくできていると言ったとか。特殊効果も古いのでそうしたシーンは怖くないけど、最初に娘が病院をたらいまわしにされて、匙を投げられるのが一番怖かった。第3作目が観たい。

30.
シャドウハンター
2016年6月12日
「シャドウハンター」ティーンエイジャー女子のための妄想映画。思慮の浅いヒロインの行動によってみんなが危機に陥るという典型的な展開。最初から腹が立って仕方なかった。クラスメイトと謎めいたハンターとの三角関係、実は自分はxxだったなど、ひと昔前の少女漫画。ただヒロインは可愛いかった。

31.
ヴァルハラ・ライジング
2016年6月12日
「ヴァルハラ・ライジング」とにかく難解。ストーリーはほとんどわからない。でも映像が何かを語るということをこの作品で知った。迫力と緊張感だけで最後までもたせている。主人公は北欧神話のヴォータン。「カジノロワイヤル」の悪役だった彼の体躯とその雰囲気が大変素晴らしい。惚れ惚れする。

32.
マイノリティ・レポート
2016年6月24日
「マイノリティ・レポート」リアリティのある未来社会が描かれていた。2002年の映画にしては良くできている。予言システムは笑っちゃたけど。ミステリアスな展開が3分の2位まで続いてすごく良かった。でも、そのあと息切れ感が…残念。そしてトム・クルーズはこの映画でも全速力で走っていた。

33.
ターミネーター:新起動/ジェニシス
2016年7月6日
「ターミネーター:新起動/ジェニシス」パラレルワールドの存在によってストーリーを巻き直しするアイデアはいい。サラは若い女性に!シュワちゃんが年老いていくのもいい感じ。笑いもあって楽しめる映画。イビョンホンが良かった。

34.
ダイバージェント
2016年7月6日
「ダイバージェント」日本でいうところの出来の悪いライトノベル。主人公に全然共感できなかった。設定も人物も掘り下げが無い。続編もあるので面白いかと思ったのだけど、私には向いていなかった。よりハードな展開を期待してしまった。ケイト・ウィンスレットが悪いおばさん役で出演。意外に似合う。

35.
死霊館
2016年7月13日
「死霊館」良作。スプラッタではない正統派ホラー。日本的な怖さに近い感じ。小野不由美の「ゴーストハント」シリーズを思い出した。あと、男女の心霊研究家という設定がXファイルに似ている。そういう謎解きの面白さがある。憑依された女性より、なにより、心霊研究家の妻の女優が一番怖かった。

36.
セブン
2016年7月23日
「セブン」日曜の早朝に観る映画ではなかった。スタイリッシュな画像にダークなテーマ。ちょうど先が見えなくなってきた頃の時代の雰囲気がよく出ている。間違いなく傑作!ブラピもモーガン・フリーマンもすごく若い。水戸の初日のほとんど客のいない映画館で初回の上映を観たことを思い出した。

37.
アントマン
2016年8月5日
「アントマン」荒唐無稽なヒーロー物語。主人公は前科者で妻と別れ、娘を愛す中年男というのが今風。大きくなったり小さくなったり自由にできればどんなことができるかというアイデアをどれだけ盛り込めたかがキモでそれなりに楽しめた。ただ虫がダメな人はダメ。そしてアベンジャーに話は続いていく。

38.
シン・ゴジラ
2016年8月5日
「シン・ゴジラ」封切2日目に映画館で観た。近年稀に見る傑作。賛否あるのもわかるがそれも魅力のひとつ。怪獣映画のこんな切り口想像もしなかった。ツイートでネタバレする人が意外に少ないことに驚いている。それだけ自分と同様に楽しんで欲しいと思っているのだ。それがこの作品の面白さの証かな。

39.
シン・ゴジラ
2016年8月20日
「シン・ゴジラ」実はIMAXで二度目を観た。初回は最後まで「ワーッ」と緊張していたが今回は少し落ち着いて観られた。とにかく傑作。批判もあって当然だけど感情的な非難はどうかなと思う。面白さを感じない人もいるとは思うけど、邦画でこのクオリティの高さは近年例がないのは認められるのでは?

40.
コードネーム U・N・C・L・E
2016年9月3日
「コードネームUNCLE」ガイ・リッチー監督のスタイリッシュなスパイ映画。私はこうしたキザな映画が大好き。あちらこちらに監督らしい演出がある。ソロ役の甘ったるい顔の俳優がピッタリ。クリヤキン役もうまい。アクションもカッコいい。観た後に元気が出る映画。特に少し年上の女子におすすめ。

41.
インシディアス
 2016年9月4日
 「インシディアス」ヒット作で期待したが微妙な観後感。なにが足りないのだろう。この残念感の原因が分からずモヤモヤしている。怖さもコケオドシ感が強い。ただし小道具の演出は素敵。人が恐怖を感じるお膳立てがよくできている。若い二人がデートで観に行くような映画かな。

42.
わたしに会うまでの1600キロ
2016年9月4日
「わたしに会うまでの1600キロ」ある女性が大自然の中をトレイルすることによって自分を見つめ直す物語。実話。安易な自分探しの旅ではなく、過去を見つめることによって考えが整理され、少しずつ自分にエネルギーが蓄えられていく過程がリアルっぽい。毎日に疲れた働く女性、主婦におすすめかな。

43.
スリーピーホロウ
2016年9月12日
「スリーピーホロウ」正統派のホラー映画。迷信と科学が混在する不確かな世界設定が素敵。T.バートンの趣味全開。J.デップが若い。C.リーもチラリと出演。そしてなんといってもC.ウォーケンの不気味さがいい。セリフは一つもないのにすごいインパクト。18人の首斬りシーンがあるすごい映画。

44.
CRIMINAL
2016年9月24日
「CRIMINAL 」ケビン・コスナーが下品な囚人役。それだけがこの映画の魅力。殺されたCIAエージェントの記憶を彼に移植して世界の危機が救われる。ケビンもいろんな役に挑戦していて大変だなと思うが、彼にはやっぱりスマートな役柄が似合う。トミージョーンズが医者役でいい感じ。

45.
キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー
2016年9月24日
「キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー」主人公はアメリカ人の理想を具現化しているが、それはしばしば組織と対立し信念と友情を優先する。今回も暗殺者は洗脳された昔の友人だがその苦悩が描かれる。彼のイノセントすぎる行動がどんな設定よりも現実離れしている。でも好き。スカヨハがいい。

46.
キャプテンアメリカ/シビルウォー
2016年9月24日
 「キャプテンアメリカ/シビルウォー」超人たちを国連管理下に置くことに反対するキャプテンアメリカ。やはり組織より信念と友情を優先している。超人全員集合でもうなにがなんだかわからない。他のウィンターソルジャーの話が中途半端。この先どうなるのか。スパイダーマンはオタクの少年で好感大。

 47.
The Nice Guys
2016年9月24日
「The Nice Guys」ダメ男大好きな私が今回一押しな映画。R.ゴズリングが腹が立つほどくだらない男を演じている。一方、R.クロウは腹の出た愛嬌ある中年オヤジ。この二人が相棒となって大事件に巻き込まれるコメディ。1970年代のカッコよさも素敵!ダメな中年男が好きな人、必見。

48.
デッドプール
2016年9月27日
「デッドプール」下品とくだらなさがいい。そして規制を受ける残酷さも。こういう作品を作ることができるアメリカの懐の深さを感じる。R.レイノルズもノリノリで演じていたのではないかな。でもこの作品ってX MENにつながってるの?他に出てくる超人二人を全く知らなかった。

49.
アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅
2016年9月27日
「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」中性的な女性の主人公は完全にT.バートンの趣味に違いない(今回はプロデューサだけど)。ある意味不気味な感じさえする。前作に比べると戦闘シーンが無い分、少し盛り上がりに欠けるかな。メッセージ性も薄く、まずはあの世界を楽しみたいという人向け。

50.
X MEN アポカリプス
2016年9月27日
 「X MEN アポカリプス」X MENとハムナプトラをミックスしたような話。他のシリーズ作品との時系列関係がよく理解できていないのだが、今回はなぜプロフェッサーがハゲたのかがわかる。ウルヴァリンもカメオ的に出演。やっぱりJ.ローレンスはキレイ。彼女が出ると画が締まる。


ということで,10月前に目標の50本を達成(2回観たものも含む)!
記念すべき50本目が,Xメンだったとは...
このあとも続いて映画を観ているので,この続きは第三弾で。

2016年の映画鑑賞録 (1)






2016年9月4日日曜日

iPhoneを修理する (実は本体交換)

iPhoneが新品になった。
新製品を購入したわけではない。古いiPhone6が新品のiPhone6になっただけである。つまりは,修理による本体交換になったという次第。

先々週,iPhoneを玄関のセラミックタイルの床に落としてしまい,ディスプレイのガラスに一部ヒビが入ってしまった。痛恨である。歳をとってから,モノをよく落とすようになった。あきらかに老化である。iPhoneもその犠牲者になってしまった。

ヒビは下部の一部で,画面が見づらい,あるは操作ができないということはなかったのだけれど,やはりそのうちにガラスが剥がれてくることが予想され,いつ使えなくなってしまうか,不安を抱えながら使うのは嫌なので,仕方なく修理をすることにした。

ネットで調べると,ディスプレイだけの交換ならば税別で14000円程度とのことだったし,安心パックみたいなものに入っていたので8割をキャリアが負担してくれて実質はその2割程度の負担で済む(すなわち3000円はかからない)ということなので,安心して修理することを選択した。

早速,修理先を探してみた。正規の代理店で修理しないとキャリアが修理費を負担しないとのことだったのでAppleのWebページから該当する店の予約を試みる。ディスプレイの交換となると,店によって当日修理できるところとできないところがあると判明したので,できそうな心斎橋Apple Storeをまずチェック。Webから予約できるのは良いのだけれど,こちらは土日くらいしか店に出向けないのに土日の予約は一杯らしく,表示がされなかった。また1週間以上先の予約はできない。ずいぶん使い勝手が悪い。

そこで,別の正規の代理店を探してみる。すると吹田のエキスポシティのキタムラがそうであることが判明。予約を試みる。こちらはちゃんと一週間以上先の土日も予約できたので,早速次の次の土曜日の予約をとる。これで9月半ばの海外出張の前には修理が完了しそうだと,まずは一安心した。

さて,土曜日。エキスポシティの混雑を気にしながらもスムーズに店舗まで辿り着くことができた。予約を入れてあるのですぐに対応してもらえる。最初に店頭のカウンターで男性が対応してくれた。まずは故障の状況を話し,本体を渡す(店に着く前に,バックアップ,「iPhoneを探す」を切る,カバーを外すなどの作業が必要)。この店舗で故障状況を確認するとのこと。しかし,ディスプレイの交換となると7~10日修理に必要で,その間代替機を貸すということになるという。ネットで調べた情報と違うと思いながらも,仕方ないので,それでお願いする。

次に奥のカウンターで技術担当の女性に対応してもらうことになる。あらためて故障状況を説明し,いろいろな確認事項をチェックする。そして本体の故障状況を店の奥の方で調査することになった。女性が本体をもって奥に消える。私はカウンターの高い椅子でただ待つことになった。

しばらくすると女性が戻ってきた。水濡れなどの故障はない。しかし,筐体が歪んでいるため,ディスプレイを交換しても不具合がでる可能性があるという。ディスプレイ交換で修理工場に送っても,筐体の湾曲で本体交換を要求される可能性が高いという話だった。

確かにカウンターの平らな面にiPhoneを置いてみても,少しカタカタとする。どうも斜めに湾曲しているらしい。使っていて全然気づかなかった。

どうもiPhone6は筐体が弱く,曲がって不具合がでることが多いらしい。筐体が曲がると,タッチパネルの感度が悪くなる,あるいは受信状況が悪くなる,などの不具合が多く報告されているとのこと。iPhone6Sではその点が改善されているらしい(その代わり,サビるらしいけど)。

仕方ないので,結局本体交換ということになった。税別で35000円弱。2割負担ということにしてもディスプレイ交換に比べて5000円は高くなる。しかし,本体交換ならば即日に入手できるし,なによりボディは新品で,バッテリーも劣化していない新品になる。その価値が5000円あるか,といわれると微妙なところだけれど,現状選択の余地もない。

SIMカードをさして,いろんな動作をその場で確認してくれる。そして本体引き渡し。あとはバックアップからデータを復旧させれば終わり。そして,また元の状態に戻った(正確には,車のカーナビへの登録などいろいろ細かい作業は必要なのだが)。便利なものである。

ということで,今,手元には新品のiPhone6がある。
実は購入して2年が経つので,今度iPhone7あたりに変える可能性もなきにしもあらず,というところだったのだけれど,これであとまた2年は今の機で行こうかと思う。
仕方がない。そういう運命だったのだ。



#もう壊さないように,ジーンズのポケットにはiPhoneは入れないようにしたい。また風呂場で使えるように無印良品の防水のケースも買った。本体価格を考えるともっと大切にすべきだったと反省。

2016年8月6日土曜日

最近のラップがいいかんじ。

ラップが最近流行っているらしい。たしかにテレビのCMでもラップが多い。息子からも話を聞いていたのだけれど,若者の間でフリースタイルラップを中心に盛り上がっているとのこと。ということなので,流行りのそれを少し聞いてみた。そして,おぉ,これが現代のラップなのかと感心した。

私のラップに対するイメージは,RUN DMCのWalk This Way,いやもっというと佐野元春のコンプリケーションシェイクダウンくらいのものだから,ずいぶんと時代の隔たりを感じた。しかし,現代のラップを聞いていると流行る理由が少しわかるような気がしてきた。それをちょっと書いてみる。

一昔前のヒット曲が私はあまり好きではなかった。どこが嫌いって,とにかく歌詞が陳腐。永遠,世界,愛,涙,夢といったワードを並べているだけで,なんの共感も湧いてこない。特に「作詞家」というプロではなく,バンドやシンガーソングライターの作品がひどかった。安易にそういった言葉に頼った歌詞で,聴いていると腹が立ってくるほどだった(誰の作品とはいわない)。

しかし,現代のラップは少し違うようだ。自分たちの言葉で,自分たちの感情を,自由に表現している。「愛」とか「永遠」とか遠くにある理想を建前で語るのではなく,身近な題材・メッセージを平易な言葉で伝えようとしている。だからこそ私たちも素直に耳を傾けることができるのだ。

もう「愛」だの「夢」だのといった言葉はマヤカシのようにしか聞こえない。本当はあるのだと信じてはいるのだけど簡単には手に入らないとあきらめている。安易に口にすると逆にウソにしか聞こえない。そんな風になってしまったのが現代なのだ。だから陳腐な表現を排したラップが今若い人たちに流行っているのも当たり前のような気がする。



2016年7月27日水曜日

三毒

今日,自分の感情が自分を壊してしまうという話を聞いた。

仏教では,この心身を壊す煩悩として,貪,瞋,癡,すなわち貪欲,怒り,愚かさの3つをあげ,これらを三毒と呼んでいる。蛇の毒のように私たちの心と体をむしばむと教えられるとのことである。

これは単に頭の中の話だけにとどまらず,この世界,すなわち身体にも確かに具現化している。私が実感するのは「怒り」である。「怒り」は身体にすぐに具体的な反応を起こさせる。上気して血が頭にのぼったり,胃が痛くなったり,私の場合は背中がむずむずする。明らかにマイナスの反応である。

確かにこれらの毒は身体の奥深くに染みこんでいて,容易には抜くことができない。それでも少しずつはデトックスして,良くなってきていると思いたい。仏教の教えはよく知らないけれど,身体の信号をフィードバックして心を制御することはできそうだと実感している。そして心を制御できれば,身体に良い影響を与えることができるのである。

人間の心身はよくできている。このしくみが大変面白くてたまらない。

2016年5月29日日曜日

2016年の映画鑑賞録 (1)

この1年の間に50本以上の映画を観ようと思った。「そんな時間よくあるなぁ」,とおっしゃる人もいて申し訳ないのだけれど,まぁ,とりあえずやってみようと決意してみた。そして作品を観たらツイッターで感想をつぶやくようにした。2016年のつぶやきをここにまとめることにする。(記した日付はツイートした日時であり,必ずしも鑑賞した日ではない)

1.
グレムリン2
2016年1月9日
「グレムリン2」を観た。パロディに次ぐパロディ。メタパロもある。このダークさは家族向けではないし、大人に対してだってかなりブラック。でも、すべてのパロディを理解できるのはかなりの映画マニアだろう。P.B.ケイツが少しぽっちゃりしていて田舎臭く可愛かった。C.リー出演が微笑ましい。

2.
 フロム・ダスク・ティル・ドーン
2016年1月24日
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を先日観た.強盗に吸血鬼.なんというオバカ映画.こういう活劇は大好き.監督のロバート・ロドリゲスってこういう娯楽作品が好きなんだろうな.タランティーノは脚本だけでなく俳優としても活躍.異常者を見事に演じている.G.クルーニーが若くてクール.

3.
アウトロー
2016年1月24日
「アウトロー」を先週観た.トム・クルーズが好きそうなストイックで強いヒーロー物.ヒロインのロザムンド・パイクが大変魅力的.また射撃場のおじいさんがカッコいい.昔ながらのアクションをしっかりと撮ったという映画.シリーズということで続編に期待.

「アウトロー」でトム・クルーズが披露していた格闘技はキーシ・ファイティング・メソッドだとすぐにわかった.「バットマン」で使われていて初めて知った格闘技なのだけれど,アメリカのセレブで流行しているのかな.特徴は肘を中心とした攻撃と前腕部を利用した受けかな.今度じっくり調べてみよう.

4.
ドラゴン・タトゥーの女
2016年1月24日
「ドラゴン・タトゥーの女」を観た.主人公はダニエル・クレイグではなくて,タトゥーをした若い女の子の方だった(と思う).彼女の苦難と再生,そして失恋のお話だった.話としては重いのだけれど面白かった.彼女の魅力が映画の魅力.一族がみんな酷い人という設定で「犬神家」を思い出した.

5.
World war Z
2016年1月31日
World war Zを観た。話自体は大変に面白い。大好きな設定。ブラピが骨太のヒーローを演じている。彼がもう少し弱くて人間関係を掘り下げていたら興行的にもっと成功していたかも。シリーズ次回作が待ち遠しい。皆ゾンビが好きなのだなぁ。http://bit.ly/1KiRS8a

6.
スパイレジェンド
2016年2月11日
「スパイレジェンド」を観た。ピアース・ブロスナンのハードなスパイ映画。そしてそのほとんどがアクションシーン。でもなぜR15指定なのかわからなかった。人物の掘り下げは物足りないが単純に楽しめる作品。ヒロインのオルガ・キュリエンコが007慰めの報酬同様綺麗だった。

7.
Tomorrowland
2016年2月15日
「Tomorrowland」2回目観た。やはりこの映画は好き。なぜなら科学技術が世界を救うから。「能力がある人」ではなく「夢ある人」が求められているのもいい。家族で観て良い作品。また,ロボットの女の子がすごく可愛い。あんなロボットが作れるのはいつのことだろうか。

8.
マッドマックス怒りのデスロード
2016年2月15日
「マッドマックス怒りのデスロード」2回目観た。やはりこの映画はすごい。監督G.ミラー万歳!アクションがとてつもなくすごくて,それも最初から最後まで続くのだけれど,女性の自立などの重要なテーマがそれで語れていないわけではない。シャーリーズ・セロンが素晴らしい。トム・ハーディが好き。

9.
カムイ外伝
2016年3月1日
「カムイ外伝」を観た。これは傑作。でも一般的には評価低いだろうなあ。松ケンが素晴らしい。セットも役者もいいし、ケレン味もそれなりにあるのだけれど、CGが…特に忍者の落下速度が不自然。もっとハードボイルドな演出も可能だったろうけど、この辺の味付けが限界だと思う。低評価が可哀想。

10.
カウボーイ&エイリアン
2016年3月1日
「カウボーイ&エイリアン」を観た。B級中のB級。話の展開に唖然とする。しかし、エイリアンとの戦いを通じ、少年は男になり、冷酷な独裁者は真のボスとなり、賞金首は改心する。たぶん人は変わることができるということがメッセージだと思うけど、関係のない人が簡単に死にすぎるのが気になった。

11.
バイオハザード
2016年3月12日
「バイオハザード」を観た。意外にチープな作りに驚く。それなりに面白いのだけど、続作以降の金のかけ方が違う。アンデッドとの戦いもどこかショボい。でもミラジョボビッチがやはり魅力的。アクションにも挑戦していて彼女無しにはこのシリーズが成立しないのだとあらためて実感。

12.
RED2
2016年3月12日
「RED2」を観た。こういう深く考えずに楽しめる映画は大好き。一作目も好き。豪華な漫画を読んでいる感じ。登場人物ではジョン・マルコビッチとヘレン・ミレンが大好きで、トボけた振る舞いがチャーミング。ブルース・ウィリスには死ぬまでこの路線でいってほしい。変に「重い」役をやらないで。

13.
バイオハザード2
2016年3月29日
「バイオハザード2」を観た。明らかに1作目よりもお金がかかっていて、アクションもアンデッドもすごい。ミラジョボビッチの肉体が鍛えられていて凄かった。主人公アリスはとうとう超能力者になってしまった。どうするんだろう、この先…

14.
ベイマックス
2016年3月29日
「ベイマックス」を観た。噂通りオタク大学は東工大ではないかと思わせる。悪の組織のマークも東工大のツバメを思いっきり連想させるデザインだった。オタクが自分たちの個性を活かして戦うという展開が良かった。工学の学生がヒーローだ。工学者になりたいと思う子供が増えると嬉しい。

15.
バイオハザード3
2016年3月29日
「バイオハザード3」を観た。更に製作費をかけた映画になっていた。2作目に出ていた人はほとんどカタがついた。4作目は新しい登場人物で始められるということか。主人公の強さがインフレを起こしている。この先どうするのか。ミラは、身体だけでなく顔つきまでがどんどんゴツくなってきた気がする。

16.
バイオハザード4
2016年4月3日
「バイオハザード4」を観た。アンデッドの数も増えたし、セットもタンカーを使ったりして、製作費がまたまた増えてることを実感させる。アクションも派手だ。ただストーリーの方はどこに向かってるのかだんだんわからなくなってきた。あと2作で収拾がつくのか?ミラの顔つきが一段と怖くなっている。

17.
マイアミバイス
2016年4月5日
「マイアミバイス」を観た。コリン・ファレルがセクシーで一番人気があった頃の作品。ジェイミー・フォックスも渋い。TV版よりもドライでカッコ良かった。幸薄い女のコン・リーが魅力的。ナオミ・ハリスが出ていて驚いた。女性が一人も死ななかったのがとても良かった。続編は残念ながらなさそう…

18.
トータルリコール
2016年4月26日
「トータルリコール」を観た。シュワルツネッガーのものよりもクール。コリン・ファレルが「マイアミ・バイス」の時に比べて柔らかくなった印象。相変わらず凄い身体だったけど。コリンの妻が怖い女を好演していてよかった。意外に面白かった。

19.
バイオハザード5
2016年4月26日
「バイオハザード5」を観た。カーチェイスあり、ゾンビ軍団ありでゲーム感覚で楽しめた。一番気楽に観ていられる。ミラに今度は母性まで持たせることによって、さらに強さを際立たせている。次作でシリーズ完結らしいけど一体どうなるのか。個人的にはエイダ役のリー・ビンビンがよかった。

20.
ボーン・アイデンティティ
2016年5月3日
身体を動かすヤル気を出すために「ボーン・アイデンティティ」を観た。素晴らしい映画。カーチェイスの画面の揺れ。リアリティのあるアクション。ずっと作品を支配する不安と緊張感がいい。武術はカリっぽい。マット・デーモンも随分修練したしたに違いない。新作が楽しみ。

21.
シャーロック 忌まわしき花嫁
2016年5月9日
「シャーロック 忌まわしき花嫁」の放映を観た。面白い。面白いんだけど、ある事情でシーズン3を未見の私には理解できないところが多々あって悔しい。早く全ての話をコンプリートしなきゃ。また次のシーズンの予定もあるとのことで楽しみ。主役二人がいいオヤジになるまで続けて欲しい。

22.
ボーン・スプレマシー
2016年5月9日
「ボーン・スプレマシー」を観た。一作目に比べて展開がかなり暗くなってきた。カーアクションはすごいけれど、その分徒手格闘が減ってしまったのが残念。でも相変わらずリアリティのある戦闘シーンが素晴らしい。この映画は何度も観ているのだけどヒロインが撃たれるシーンにはやっぱり驚いてしまう。

23.
ジョン・ウィック
2016年5月22日
「ジョン・ウィック」を観た。こういう男の復讐劇は大好き。銃をガンガンぶっ放す。これはキアヌ・リーブスのハマリ役になりそう。ただ最後の対決は素人ぽくて少し残念。次回作がありそうな予感。あと、ウィレム・デフォーの老け方にビックリした。

24.
スターウォーズ・フォースの覚醒
2016年5月28日
「スターウォーズ・フォースの覚醒」を観た。カイロ・レンの中二病のこじらせ方に苦笑する。相変わらず単純なストーリー。この作品には喜ぶファンとそうでないファンがいるのは間違いない。まあどんな作品作ったって満足しない人はいるのだけど。ハリソン・フォードが走るシーンに彼の頑張りを感じた。

以降,「2016年の映画鑑賞録 (2)」につづく(予定)

2016年4月2日土曜日

2016年のエイプリルフール

以前は毎年4月1日のエイプリルフールに,ホラ話をブログに書いていたのだけれど,2011年を最後にしばらく書いていなかった。どうも年度始まりは余裕がなく,気づいた時には4月1日が過ぎてしまっていたということがここ数年続いていたからである。

今年は奮起して久しぶりにホラを書いてみたのだけれど,我ながらイマイチな出来栄え。もっと大げさなホラが吹ければよかった。ということで,昨日の記事はウソです。すみません。もう少し本当のこととウソの境界が微妙なうまい話が書ければよかったです。来年はもっとウソ道に精進いたします。

これまでのエイプリルフールのウソ

2011年4月1日 パワエレの系統
2010年4月1日 電力の産地指定購入
2009年4月1日 人間の共振現象
2008年4月1日 夜中の台所にて,パワーエレクトロニクスの音色に耳を澄ます

2016年4月1日金曜日

地球を利用した無線電力伝送システム

新しい電力伝送のお話。

電気回路の素子といえば,「抵抗」,「キャパシタ」(コンデンサ),「インダクタ」(コイル)の3つしかない。基本的にこの3つの素子があれば,電気回路の現象は表現できることになる。そして電圧と電流が決まれば,(電圧✕電流)で電力が計算できる。電力というのは,ある時間の間に(一般には1秒間に)伝送できるエネルギーの量を示す指標である。これが大きければ大きいほど大きなエネルギーを使うことができることになる。

電力は現在,電線を用いて遠くの発電所から私たちの家まで伝送されているのはご存知の通りである。これを電気回路的に表すと,抵抗,キャパシタ,インダクタで表される電線に電圧をかけて,電流を流すことによって,電力を送っていることになる。

この電気回路で表現される電力の伝送方法としては,基本的に3つの素子の組み合わせになるので,(抵抗+キャパシタ)(抵抗+インダクタ)(キャパシタ+インダクタ)の組み合わせが考えられる。電力は一定時間に伝送できるエネルギーの大きさだから,エネルギーの変化が短時間で大きい方が大きな電力を送ることができることになる。

先ほどの3つの組み合わせでいくと,(抵抗+キャパシタ),(抵抗+インダクタ)は,組み合わせの中に「抵抗」が存在する。この抵抗がクセモノで,抵抗は電力を消費する(消費を表す)唯一の素子であり,その値はエネルギーの変化の大きさに大きな影響を与える。すなわち,(抵抗+キャパシタ)の組み合わせでは(抵抗✕キャパシタンス)で決まる時間(時定数)で,(抵抗+インダクタ)の組み合わせでは(インダクタ÷抵抗)で決まる時間で,電圧と電流が変化し,それによってエネルギーが送られる時間が決まることになる。そしてその時定数の値は一般的に長いものになってしまう。また流れる電流と抵抗の大きさによって,(抵抗✕電流✕電流)で決まる電力が損失として消費されてしまうという大きな欠点もある。

では,最後の組み合わせの(キャパシタ+インダクタ)はどうだろう。電圧と電流の変化は,キャパシタンス(静電容量)とインダクタンスによって決定されることになるが,抵抗を含む2つの組み合わせでは指数関数的に変化するのに対し,この組み合わせではただ振動するだけである。この振動は共振と呼ばれ,その周波数はキャパシタンスとインダクタンスの積の平方根に反比例した値となる。すなわちエネルギーはこの周波数で,キャパシタからインダクタに,そして次はインダクタからキャパシタに行ったり来たりする。これは電力の伝送に他ならず,その速度は非常に高く設定することができる。さらに,この組み合わせでは抵抗が含まれていないので電力の損失がない。キャパシタとインダクタの共振を利用して電力を伝送すれば,無損失で高速なエネルギーの伝送(送電)ができるという可能性を示している。

さて,電気回路を形成するためには,電線の存在が不可欠である。しかし,遠距離にある発電所から電力を送るためには,山の中に鉄塔を立て,太い電線を何本も敷設する,あるいは地中にケーブルを埋めるなどの工事が必要で,その建設費用は莫大となる。もしもこうした電線が不要となるのであれば,場所に制限されず電力を送ることが可能となり,その益は非常に大きい。比較的小電力でこれを実現できているのが,近年電気自動車の充電器への適用で精力的に研究開発が進められている無線電力伝送(Wireless Power Transfer)である。この技術においてもキャパシタとインダクタによる共振が利用されていて,効率の向上に大いに貢献している。

さて,新しい電力伝送の話である。
地球上のどこへでも,電線を用いずに電力を送れるとしたらどうだろう。
ここではまず共振を利用した無線電力伝送技術の利用が前提となる。低損失で電線の要らない無線電力伝送こそが世界で必要とされる究極の技術である。では,回路を形成するキャパシタとインダクタはどうするのか。これには地球そのものを利用するのである。地球もアースといわれるくらいだから導電体とみなすことができる。そして地表と地球を包む電離層は巨大なキャパシタを形成している。一方,インダクタは電流が流れる経路が地球を一周すれば十分な大きさをとることができる。この2つを利用して共振回路を形成すればよいのである。地球が共振回路の一種であることは以前から知られていて,この共振周波数はシューマン共振周波数として,約8ヘルツ,13ヘルツ,20ヘルツの電磁波が観測されることからも確かめられる。この低周波で電力を送ろうというのである。音叉の実験と同じで,8ヘルツの電気をこちらから発信すれば,どこかに8ヘルツの音叉に相当する受信アンテナを設置すればそこで電力を得ることができるようになるのである。8ヘルツ程度であれば,現在の技術の大容量半導体電力変換器で十分に発信・受電することができる。そう遠くない未来で実現できることを期待している。

ニコラ・テスラがどこかの本の余白に,無損失で地球上のどこでも電力を送れるシステムを思いついたとの書き込みをしていたとの話を聞いたことがある。そのアイデアがなんだったのかは未だ明らかになっていないのだけれど,案外この地球を利用した無線電力伝送だったのではないかと思っていたりもする。

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2016年1月31日日曜日

ルーシー

スカーレット・ヨハンソンという女優は,なんとなく気になる存在だけれど,綺麗だからというわけでもない。なにかしら心に引っかかるものがあるのだけど,それがなにかよくわからなかった。しかし,この映画を観て,彼女は綺麗だというばかりでなく,人間の嫌なところを感じさせる女優だから気になるのだとわかった。

「ルーシー」(2014年)(監督:リュック・ベッソン)

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先日、映画「ルーシー」を観た。人間は脳の能力のほんの一部しか使っていないという都市伝説(?)に基づいたファンタジー。最後のオチも予想がついた。L.ベッソンらしいクサイ脚本という印象。S.ヨハンソンの魅力だけでもっている映画かな。
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人間の脳は本当に少ししか使われていないのだろうか。

昔,「Night Head」という深夜ドラマがあって,そこでは確か脳の30%しか使われておらず,残りの70%はNight Headと呼ばれて,そこが開発されれば超人的な能力(超能力)を発揮できるという設定だった。たいへん面白いドラマだったと記憶しているけれど,この「ルーシー」も同じような設定が前提である。しかし,現在では,やはり脳はそのほとんどが活動していて,殆どの部位がなにかしらの役目を担っているという方が定説だと聞いている。脳が使用する酸素の量を考えてみてもそのような説の方が納得できる。

映画の最後のオチも想像できた。100%覚醒した脳をもつ人間は,人間として存在できなくなるに違いない。そして普遍的な存在に昇華する。ここらへんもありふれたSFのオチのように思える。

ルーシーという名前は,もちろん人間の祖先であるアウストラロピテクスの名前である。そこらへんもクサイ。最近,リュック・ベッソンの映画はちょっとコテコテの(使い古された)設定が多すぎるのではないか。もっと斬新な話の展開を期待したいなあ。

脳の本来の能力は,結局通常時どのくらい使われているのかわからないけれど,人間の身体,特に筋肉はその100%の能力は使われていないのははっきりしている。なぜなら,筋肉が100%の力を出したら筋肉が壊れてしまうから。だから心理的な限界があって,そこまで筋肉を使わないようにしているのである。それを越えるのが「火事場の馬鹿力」だなどと言われているけれど,私はそれは違うのではないかと思う。火事場の馬鹿力とは,単に筋肉のポテンシャルを100%使うことではなく,人間の身体をもっとも効率よく使うよう,いうなれば動物に近い動きをするように,本能が働くことなのではないかと思っているのである。(100%を使うとしたならばそれは北斗神拳である)

スカーレット・.ヨハンソンはいい感じである。主人公は普通の女性,いやむしろダメダメな女性で,全然イケていない,私の近くにいてもあまり近寄りたくない女性である。それをちゃんとS.ヨハンソンは演じている。人間のダメさ加減をちょうどよく演じている。そういった意味で,彼女の演技のうまさに惹かれた。この映画の救いである。

「ルーシー」は,人間の脳にはまだまだポテンシャルがあるのではないか,という希望的な願望あるいは「都市伝説」に基づいた作品である。話自体は月並だが,スカーレット・.ヨハンソンから感じられる人間の汚さ,澱,みたいなものが魅力となっている映画である。

評点(★5つが満点)
★★☆☆☆

2015年12月鑑賞



2016年1月1日金曜日

パワーエレクトロニクスはどこへ行くのか

パワーエレクトロニクスは,William E. Newellの1974年の著名な論文"Power Electronics---Emerging from Limbo"によれば,「エレクトロニクス」,「パワー」そして「コントロール」といった技術の境界に存在する工学と述べられている.そしてそれは,パワーをコントロールできるエレクトロニクス素子,すなわち半導体素子によって支えられてきた.

1947年のトランジスタの発明以来,パワーエレクトロニクスに適用される半導体素子はサイリスタ,GTO,MOSFET,IGBT,IGCT,IEGTなどが次々と出現してきたが,現在はこれまでのSiに代わる次世代のSiC,あるいはGaNを用いた次世代の素子が市場に投入され,パワーエレクトロニクスは新しい展開を迎えていると言われている.

しかし,パワーエレクトロニクスへの要望・期待は産業界からは高まっているものの,残念ながら一般社会からの関心は低いままにとどまっている.それは,まず「パワーエレクトロニクス」という言葉を知っている人はそもそも少ないことや,「インバータ」などという単語でさえも耳にしたことがある人はかなり少ないことをみてもよくわかる.これではパワーエレクトロニクスに興味をもってくれる高校生も少なくなるのも仕方ないだろうと思う.しかし,それではこの分野の人材不足を招いてしまう.問題なのである.

数年前,ある教授の最終講義において,産業界において重要視されているのに大学ではそうではない分野というのが紹介されていて,そのリストの一番上にパワーエレクトロニクスが書かれていたのを見て腰を抜かしたことを覚えている.そうなのか,私の分野は大学では軽視されているのか.その現実を知ってショックを受けた.まぁ,大学でさえそうなのだから,一般では認知されていないのもやむをえない.

そもそも,パワーエレクトロニクスはいくつかの工学のすりあわせ,システム工学であり,応用分野である.基礎学問ではないから軽視されるだろうし,ノーベル賞にも縁がないだろう.そして関心がもたれない一番の理由は,私たちの周囲において,パワーエレクトロニクスは「技術」として姿が見えにくいからではないだろうかと思われるのである.

でもそれも仕方がない,とも思う.なぜなら,パワーエレクトロニクスの目標は,小型化,高効率化,高機能化である.これらの目標が達成されればされるほど,装置は小さくなり,音は聞こえなくなり,人の目にふれないところへ押しやられていく.元来,そうした性格をもった技術なのである.それでいて複雑な制御を実現して便利になっていく.現代社会の利便性を支える「縁の下の力持ち」的な技術なのである.

それでは,これからパワーエレクトロニクスはどこへ行くのだろうか.電力,鉄道,自動車,家電などいくつかの分野があるので様々なベクトルがあるだろうが,そのひとつには,ますます便利になって,ますます人の目にふれなくなっていくという方向があるように思う.そして私は次の言葉を思い出す.

"Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic. "
(十分に進んだ科学技術は,魔法と区別がつかない)
~アーサー・C・クラークの第3法則より~

そう,パワーエレクトロニクスが行き着くところは魔法の実現ではないだろうか.たとえば200年前に生きていた人が現代の技術をみたときに,魔法としか思えないものも多々あるに違いない.回路はますます高効率・高出力となって小型化され,人々の目の前からその存在を隠していくことになるだろう.そして私たちは,その存在を意識することなくその便利さを享受するのである.気づかれなくたっていい.みんながパワーエレクトロニクスが実現する魔法で便利に暮らすことができるようになるのであれば.それはパワーエレクトロニクスのゴールの達成なのだから.

ただ問題は解決されないままである.魔法の実現によってパワーエレクトロニクスに興味を持ってくれる若者は増えるだろうか?いや,ますます減るに違いないのである.なんとも悲しい運命をもった技術なのかもしれない.