夜に桜をみる.
街灯に照らされて夜に見る桜はピンクというよりもほぼ白色で,ほんのわずかに桃色がのっているかどうかという淡い色合いである.昼間の明るい表情とは別に夜の桜にはなにかに取り憑かれたような美しさがあり,この世に存在しないもののように感じられてくる.それは見ているものに,どこかしら恐ろしさを与えるほどである.
梶井基次郎は,その魔的な美しさの秘密を「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」からだと見破ったのだけれど,まさにその通りとしか思えない.梶井基次郎の洞察には感嘆するばかりである.彼が透視する屍体は,腐乱してうじ虫がわいているけれど,水晶のような液をタラタラと垂らしていて,その液を桜は吸い上げて美しく咲くのである.この退廃的な妄想を直観してしまうほど,桜の美しさは妖しくダークなのである.そうした理由でしか桜の魔性を説明できない.
電灯も無かった頃,人は月明かりの下,桜を見たのだろう.なかにはその美しさに気が狂ってしまった人もいたにちがいない,などと思うのである.
一方,散ってしまった桜の枝も象徴的だ.美しさを失ってしまった佇まいに,人はまた盛りを越えてしまったあとの虚しさを思わずにはいられない.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
なにもかも手に入れた金持ちは武術の習得を目指す?
人生におけるほとんどの幸せはお金で買える。これは間違いの無い真理であり,私は全く同意する。 しかし,もしも自分がたいへんな金持ちになって,世界を救おうなどと考えず(笑),自分のためにそのお金を使うことができるようになったら,私は次に何をするだろう? なにもかも欲しいものが買える...
-
本ブログのコメントに, (電力)供給過多になるとなぜ、発電機の回転数が上がるのか というご質問をいただいたので, それについての回答を少し. (すみません,コメントいただいていたのに 気づくのが遅れました) 発電機の回転数は,個々の発電ユニットで見れば, 発電...
-
Googleをはじめとして, 検索ツールなしでは仕事ができない, というところまで現代の私たちは来てしまった. 特に研究分野においては, 過去の研究のサーベイ,現在の市場調査, 世界の装置のリストアップなど, もう検索ツールの便利さ無しでは, 考えられない状況である. こうした状...
-
私が担当している「電気機器」という講義においては,「磁気回路」,「 直流機 」,「 同期機 」,「 変圧器 」,「 誘導機 」を取り扱う.「磁気回路」は機器ではないので,残りの4つの電気機械について学生のみなさんは勉強することになる.さてここで,「直流機」,「同期機」,「誘導機」...
-
業界用語というものがある. それがいつの間にか広がって, 一般認識のもと使用されるようになった言葉も多い. たとえば,「トリ」という言葉. これは落語で最後に現れる芸人を言っていたものが, いつのまにか最後を締めくくる人全般に 用いられるようになった. あるいは,「ドタキャン」....
-
<自分の好き嫌いを書くことによって,自分の性格や思考について明らかにしていこうとする試みを続けています> 先日,子供たちの塾の先生と話していたのだけれど,子供の 「みんながやっているから」 「みんなそうしているよ」 という言い訳が大嫌いという意見で一致した. 実は...
0 件のコメント:
コメントを投稿