2009年8月4日火曜日

「老人と海」の読書感想文

ようやく梅雨が明けたらしい.
確かに空は青く,白い雲が浮かんでいる.
我が家の子供たちは毎日プールに出かけ,
もうすでに真っ黒になっている.
あぁ,すっかり夏休みなのだと思う.

息子が夏休みの宿題で悩んでいた.
聞けば読書感想文を書くのだという.
そういえば,そんな宿題があったなぁと
思い出す.

私などは大変不真面目だったから,
読書感想文などは,だいたいに
適当に書いてしまっていたように思う.
中学生くらいの時分は特にひどくて,
確かあれはヘミングウェイの
「老人と海」だったと思うけれど
(それだって,大変短そうだったから選んだのだけど)
まずはあとがきから読んで感想文を
書いたような気がする.
なにを書いたかはすっかり忘れてしまったけれど,
とにかくそんな書き方をして
やっつけ仕事で済ましてしまったことは
はっきりと覚えている.
いまさら,ひどいなぁ,と思う.

「老人と海」を真面目に読んだのは
たぶん働いてからだったと思う.
そのとき,はじめて面白いと思った.
サンチャゴが死闘の末に仕留めたカジキは,
港まで曳いていく間にすっかりサメに食べられてしまう.
全身全霊をかけた努力も水泡に帰すのである.
それでもサンチャゴの心は折れなかったのだと
私は思っている.
サンチャゴがライオンの夢を見て終わる結末は,
決してビターエンドではないのだと思う.

「老人と海」を読んで以来,
しばらくヘミングウェイの短編集に
はまっていたように思う.
その頃,私も強い男に憧れていたのかな.
(今ではそんなマッチョな男はイヤだけど)

今,「老人と海」の感想文を書くならば,
自分の老いも考えて,いろいろなことが
書けるような気がする.
感想文とは,本の紹介文ではなく,
自分の紹介文であることに
今あらためて気づく.

ただ,もう読書感想文なんて宿題,
さらさらやる気はないのだけれど.



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