2007年8月13日月曜日

分散電源は,中国を,世界を救えるか

中国に行ってきた。
分散電源に関するパワーエレクトロニクスのシンポジウムへの参加,
合肥工業大学の見学,
浙江大学の訪問,が目的である。

IEEE主催の分散電源に関するシンポジウムは今回が第1回目で,
それが中国で開かれたことに意味があると思う。

分散電源とは,新エネルギー(風力,太陽電池,燃料電池等)などに
関する発電システムであり,今後私たち将来のために必須の技術である。
一方,パワーエレクトロニクスはエネルギー応用,
産業応用に近い分野であり,
その分野でシンポジウムが開かれるということは,
いよいよ本格的な導入が近いのだと言える
(これまでとは異なり大量導入するためには,また技術が必要なのだ)。

中国というのは,現在電力不足である。
毎年,巨大な電力システムが増力されているのだが,まだ不足している。
最近では一年に増力された電力設備は,東京電力総容量に匹敵する。

東京電力というのは,実は世界最大級の電力会社なのであり,
たぶん民間会社であれば世界一だろう(ちょっと自信が無いけど)。
それがたった1年間で増えているのだ。
これがどういう意味を持つか,だいたいすぐに予想できる。
エネルギー不足,環境問題,燃料の高騰。
決して対岸の火事ではないことは,日本も既に実感している。

これを救うには,やはり新エネルギーの利用と効率の改善しかない。
だから分散電源とパワーエレクトロニクスなのだ。

中国では計画停電(あらかじめ停電が予定されている)が
数年前には当たり前に行われていた。
いつかそのようなことが世界のあちらこちらで,
もちろん日本でも行われることになるかもしれない。

そうならないように私たち研究者・技術者は努力している。
しかし,技術的進展はその需要の増加に追いついていない。
結局のところ,現在は人々の省エネ努力に頼るしかないのだ。

世界を救うのは,限界がある科学技術ではなく,
人々の心を変える偉大な哲学者の出現なのかもしれないと
思ったりもする出張帰りの私なのである。

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