2007年8月21日火曜日

世界に一つだけの電池

日曜日は,「夏休み子ども理科教室」というイベントをお手伝いしてきた.
昨日から,大阪工業大学で開催されている
電気学会 産業応用部門大会という学会における
夏休みの子供たち向けのイベントである.

子供たちは小学校4~6年生を対象とし,保護者の方の付き添いもあって,
参加者は,午前・午後の2回で約200名に上った.

内容は,電池工業会のキットによる乾電池の作成と
その乾電池を用いてコンデンサを充電して走らせる電気自動車の作成である.
最終的に,子供たちは3 mのコースのタイムレースに挑む.
そこはやっぱり手作りの電気自動車で,
うまく走るものもあったり,曲がってしまうものもあって,
子供たちの喜びの声と失望のため息が混じりあっていた.

このイベントは,子供たちの理科への興味をもってもらうために
毎年行っている.
確かに電池や自動車を作っているときの子供たちの真剣さ,
目の輝きは,大変に素晴らしい.
見ているこちらこそ,ものづくりの楽しさを再認識させられるほどである.

子供のころのちょっとした体験が将来を決めることも少なくない.
先生に絵を褒められた.
算数の問題が解けてうれしかった.
飼っていたうさぎが死んでしまった悲しかった,などなど.
子供のころに受けた印象は,
大人になってたとえそのことを忘れてしまっていても
実は人生に潜在的に影響を及ぼしているのではないか,と思う.

私自身は,自分の人生を決定的に変えたこと,といわれても
ピンと思いつかないけれど,顕在意識が忘れてしまっている経験が,
あるのかもしれないとも思う.
人との出会いも含めて.

そう考えると,
電池を作って豆電球が光ったこと,
そして自動車が走ったこと,
それらのことが参加してくれた子供たちの将来を
ちょっとは変えてくれるかもしれない.

そう思うと,「夏休み子ども理科教室」をお手伝いできて,
ちょっと嬉しかったりする.

ちなみにこの記事のタイトルは翌日の毎日新聞 大阪地方版にのった
「夏休み子ども理科教室」の新聞記事の見出しである.

(余談)
実は一番驚いたのは,電気自動車に使用されているコンデンサが
スーパーキャパシタと呼ばれる特別なものなのだけれど(4.7F, 2.5V),
5年前の価格が600円だったものが今年は60円だったのだということである.
5年でこのハイテク部品の価格が1/10になるなんて.
あらためて技術の進展の速さに舌を巻いた次第.

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