2009年1月14日水曜日

大学に入って何をするのか

気づいてみると,今週末はセンター試験.
受験生のみなさん,頑張ってください.

受験生のみなさんは,
なにをもって志望大学を決定されるのでしょうか.
もちろん,偏差値などが考慮されていることでしょう.
自宅に近い場所にあるとか,素敵なキャンパスだとか,
そういったことも意外に重要なファクタなのかもしれません.
しかし,やはり私は,一番大切なのは大学に入って何をするのか,
ということだと思います.

そんなこと考える余裕は今はないかもしれません.
けれどもう一度,受験勉強は何のためにしているのか,
それを見つめ直してはいかがでしょうか.

大学入学以前に,自分が将来何になるのかなんて
決めている人は本当に一部だと思います.
私も大学に入る前に,自分の将来は何をしようなんて,
全然決めてはいませんでした.
もちろん,今こんな職業に自分がついているなんて,
思いもしませんでした.
でも,奨学金のための公募論文のテーマが
「私は大学に入って何をするか」というものだったので,
私も一応高校時代に考えてみたのです.

当時,高校生がこのテーマについて考えるには,
入手できる情報が少なすぎました.
今のようにインターネットもありませんでしたし,
若い人向けの仕事の紹介本もありませんでした.
図書館にも通いましたが,いまひとつピンときません.
考えて考えた末にたどり着いた結論が,
「大学は,自分がなにをするか考える場所である」
というものでした.
結局,将来を決断することからうまく逃れたわけですが,
今となっては,この答えはなかなか良いものだったと思います.

大学は,自分は将来何をしていくべきなのか,
それを考える場所なのだと思います.
そのために,いろいろと勉強するわけです.
進路について後悔しない決断をするために,
そして社会で活躍するために,
幅広い教養を身につけるのです.
それが理工系大学であってもです.
パワーエレクトロニクスのような工学なんて
実学だ,と思われるかもしれませんが,
私は立派に教養の学問だと思っています.
教養は,哲学や美術だけにあるわけではありません.

大学を卒業したら就職をされることと思います.
卒業生を見ていると,就職先を決定するのに
要する時間なんて,本当に短いようです.
でもそれでよいのだと思います.
後悔しない決心ができさえすれば,
期間の短さなんて関係がないのです.
ただその決心ができるために,
大学で4年間,あるいは6年間(あるいは9年間)
準備をするのだと思います.
その準備にふさわしい大学こそ,
選ぶべき志望校なのです.

大学に入ってからその志を忘れてしまう人も
少なくありません.
いつのまにか,なにかによって
スポイルされてしまう人がいます.
そうした人をみると何のために大学に入ったのか,
そして何のためにつらい受験勉強を頑張ったのか,
残念に思います.
そうした人たちを思って,この記事を書きました.

若いころを思い出して,
少し気恥かしい文章になってしまったかもしれません.


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