2011年2月17日木曜日

シューベルト,即興曲集(内田光子)を真夜中に聴く

ピアニストの内田光子さんがグラミー賞を
受賞したそうである.
おめでたい話である.

受賞は,モーツァルトのピアノコンチェルト23,24番の録音.
クリーブランド管弦楽団との弾き振り(指揮者無しで,
ピアノ演奏者が指揮をする)とのことである.

私は内田さんの録音は,モーツァルトのピアノコンチェルト
(指揮はジェフリー・テイトで,イギリス室内管弦楽団の録音)と
シューベルトの即興曲集あたりしか持っていないけれど,
日本が世界に誇る演奏者であることは間違いないと思う.

それは,シューベルトの即興曲集の録音を聴いてもわかる.
私は,このCDを夜に聴くことが多い.
静まりかえった真夜中に,沈黙から始まる演奏.

ほんとうにそうなのだ.
このCDは,プレーヤーがタイムカウントを始めても
音が鳴り出さないのである.
思わず耳を澄ましてしまう.
そして,それが始まる.
ずっと続く緊張感.
それでいて甘い匂いのようなものが,
部屋の中に広がっていく.
これがたまらなくて,私はこのCDをひっそりと
夜に聴くのである.

内田さんは,「シューベルトには死の匂いがする」などと
どこかで語っていたように記憶しているけれど,
それが甘い匂いの中に感じられる演奏なのである.
(アファナシエフの演奏(後期ピアノソナタ3曲の録音)で
感じられる絶望感とは違う)

ただ気軽に聴ける音楽ではない.
内田さんの演奏にはどこか生死がかかっているような
印象をうける.
それでいて切迫したものはあまり感じられず,
音楽としての美しさも失われていないのだけれど,
緊張をもって聴かなければならない音楽だし,
聴き終わった後に,単なる爽快感だけでは終わらない,
長い思索から抜け出したような,そんな気分になるのだ.
音楽を通じてなにかが確かに伝わる.
そんな希有な演奏家であることは間違いないと思う.

実は,ずっと彼女の録音した
シューベルトの最後のピアノソナタ(19, 20, 21番,2枚)が欲しくて
たまらないのだけれど,財政事情で我慢している(涙).
あぁ...いつになったら購入できるのだろうか.

#もうひとつ,高橋アキの同じソナタの録音CDも
欲しいんだよなぁ...

#リヒテルの20番の録音てやっぱり無いのかな...

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