2024年1月27日土曜日

ゴジラ -1.0 (2) ~ゴジラは自然災害であり,戦争である~

今回のゴジラを観て思ったのは,ハリウッド版とのゴジラという存在の違いである。これは多くの人が指摘しているところなのだけれど,ハリウッド版はあくまでも巨大恐竜,怪獣という未知の生物を相手に人間が戦うという印象である一方,日本版はゴジラの厄災は天災であるという意味あいが強い。今回のゴジラは特にそう。もう強すぎて,理不尽すぎて,こんなのは台風や地震にならぶ災害である。その前に人間はただただ逃げ惑うしかない。そんなゴジラの存在が今回の映画によく描かれていた。

日本人がゴジラを破壊神として神格化するのは,自然災害は荒ぶる神の表れと考えが日本にはあるからなのだろう。日本は自然災害に苛め続けられてきた。それは全く理不尽で,人間にはどうしようもない。あきらめて受け入れるしかない。しかし人間にはその悲劇にはなんらかの理由付けが必要で,そのために神があるのかもしれない

さて,そうしたゴジラの存在意味の違いが原因なのだろうけれど,だから,今回の映画ではハリウッド映画によくありがちな最初から特別に強いヒーローは出てこない。主人公は特攻から逃げてしまった業を抱えているし,ゴジラと戦う人たちは「戦争で生き残ってしまった」とどこかで後ろめたさを抱えている人たちである。ゴジラはその時代の各人が心に傷を抱えている「戦争」でもある。浜辺美波の最後のセリフ「コウさんの戦争は終わりましたか?」に表れているとおり,それらに区切りをつけるという意味もある。

最初にこの映画を観たときに思ったのは,上記理由で「日本スタイルのゴジラだなぁ」ということ,「日本人が好きそうなベタな人間ドラマだなぁ,」と感じて,つまりは「世界には受けないだろうなぁ」ということを感じたのである。しかし,私の予想とは異なり世界的にヒットをしているのだという。うーん,やはりドラマとゴジラの配分がいいからかなぁ…?まぁ,確かにハリウッドが,世界が,マーベルやDCのスーパーヒーローの物語に飽きているということもあるけど。


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