最近,宮藤官九郎のドラマや映画にあまり興味を惹かれず,しばらく離れていたのだけれど,彼の脚本による今期のTVドラマ「不適切にもほどがある」はかなり面白くて,毎週放映を楽しみにしている。
1986年,昭和の時代から2024年の現代にタイムスリップしたオジサン(阿部サダヲ)のカルチャーショックをもとに,行き過ぎたハラスメント対策やコンプライアンスなどの現代の問題を浮き彫りにするコメディ・ドラマである。ところどころにミュージカル風な演出があったりして(これが実に本格的で感心させられる),クドカン節全開の作品となっている。
1986年,私は大学1年生で上京したばかりだったから,ドラマで描かれている昭和の時代を実際に経験している(これもリアタイというのだろうか?)。バスや列車の中でもタバコは吸われていたし,部活動は熱血指導という名のハラスメントし放題だったし,深夜テレビでは「11PM」や「トゥナイト」,そして「オールナイトフジ」なんかが放送されていた時代である(とんねるず全盛期)。だからこのドラマの「昭和あるある」はほんとに共感できるし,懐かしく感じる。
しかし,このドラマで一番感心しているのは,その「昭和あるある」を単に笑いのネタとして使うのではなく,昭和の価値観を否定しないで,その昭和の視点から現代を見つめ直す(否定しているわけではない)ことを試みていることである。単なるコメディドラマでないところが,人気の秘密なのだろう。
とはいえ,私も阿部サダヲ演じる主人公をついつい応援してしまう。現代のコンプライアンスに縛られた生活に対して,主人公が「気持ち悪っ」って言い放つところに共感してしまうところが,私もこの現代の様式に適応てきていない証拠なのだろう。
このドラマは笑いながら,現代の価値観の新シい味方を与えてくれる素敵な作品だと思う。クドカンも久しぶりに(?)いい仕事している,って思う。
#阿部サダヲって,初めて私が認識したのは「私立探偵 濱マイク」だったと思う(木更津キャッツアイを見ていないので)。すでに20年以上も前になるのか。大河ドラマの主役を張れるような役者さんなのだなぁ,としみじみ。(映画「リボルバー・リリー」では,山本五十六を演じていたけれど)
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