新しい食べ物との出会いは,ずっと思い出に残っていることが多いようだ。カプチーノとの出会いを以前にこのブログに書いた。今回は,小学校4年に(だったかな)初めて東京に行ったときの話。
東京にいる私の親戚は2軒とも蕎麦屋で,食べ物に対しては先端をいっている人たちだった。東京訪問時に私が初めて親戚のうちに行って食べたものが,グレープフルーツだった。
それまで私は夏ミカンしか大きな柑橘類は食べたことがなかった。それも昭和のその頃の甘夏は酸っぱくて固くて,食べ終わると歯が浮いたような感覚になったものだった。まあ,小学生のうちは,一回に甘夏の1/4しか食べさせてもらえなかったけれど。
それが東京の親戚のうちの客間に通されて,テーブルの上に出された果物が半分に切られたグレープフルーツだった。
まず色に驚いた。甘夏のオレンジとは違う黄色だったのである。そして中身はパサパサなどしていなくて断面はみずみずしく光っていた。見るからにおいしそうである。
次に驚いたのはおもむろにグレープフルーツの断面に砂糖をかけ始めたことである。その当時,グレープフルーツはまだまだ甘さが足りなくて,食べるときにちょうどスイカに塩をかけるように,砂糖をかけて食べていたのである。今では思いもつかないけれど。
そしてもっと驚いたのは,先っぽがギザギザになっているスプーンである。それで半分に切られたグレープフルーツの身を掬って食べるというのが画期的だった。甘夏みたいに皮をむいて,中身をひっくり返して食べるのではなかったのだ。なんて上品な食べ方!と思った。
実際食べてみると,グレープフルーツはすっぱくて,苦くて,確かに砂糖がなければ食べ続けれられないかもしれないと思ったことは覚えている。大人のフルーツだったのだ。
それが今では,グレープフルーツは私の大好物になっている。品種改良も進んだためか,甘さも十分あって,砂糖をかけて食べる人なんて見たことがない。グレープフルーツジュースもさわやかな苦みがあって大好きである。東京で初めて食べてから40年以上が経ったけれど,グレープフルーツを1/2個食べるときの贅沢感は今も変わらない。
0 件のコメント:
コメントを投稿