葬式は残された生者のためにあるということを以前に書いた。葬式とは逝ってしまった人からの呪縛を解くために行われるのではないか,と。
そして最近,天国というものも残された生者のためにあるのではないかと思いついた。天国というものが存在して,亡くなった人が天国に行っていて幸せに暮らしていると考えることができたら,どれだけ私たちの心は救われるだろうか。
もちろん,生者である私たちにとっても,死後の行き先として天国,極楽浄土があるということは,今生の苦しみから解放される「終わり」すなわち「死」があるという「救い」となっていることも理解できる。
しかし,天国の存在は自分たちの死後のためよりも,むしろ生きている私たちの現在の心の救いのために存在するのだ。私たちは逝ってしまった人に対する後悔を一生抱えていかなければならないが,ほんの少しでもその呪縛から救われるために天国が存在するのではないだろうか。
天国が本当に存在するのであれば,そんなに素晴らしい救いはないが。
#「死」によって天国・極楽浄土へ行くことがこの人生の救いとなるのであれば,みな自死を選択するだろう。しかし,ほとんどの世界で自死は禁忌とされている(日本の侍は自決することが許されていたが)。やはり自死が許されない理由がどこかにあるはずである。
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