2011年2月10日木曜日

宗教の果たす役割:エクソシスト急募,島村菜津

先日紹介した「エクソシストとの対話の作者が再び
エクソシストについて書いた本が昨年夏に
出版されたことを知り,早速読んでみた.

エクソシスト急募」,島村菜津

イタリアで急増するエクソシストと
その背景について取材をもとにまとめた
ノンフィクションレポートである.

幾分かは前作と内容が重複しているが,
前作が書かれた1998年から本作の2010年までの
社会情勢の変化もわかって興味深い.

やはり今回もカソリックだけではなく,
心理学者とのインタビューや
悪魔崇拝(サタニズム)とされる宗教の
代表者とのインタビューも収録されている.

結局のところ,現代はどの国でも,
うつ病などの精神疾患が増加しているが,
差別が起こりうるとして精神病院を廃止しつつある(!)
イタリアでは,精神疾患と判断されるよりも
「悪魔憑き」としてエクソシストに救いを求める人が
多いということらしい.
「悪魔憑き」というのは,長い宗教史において
文化的に認められる現象であり,
「悪魔憑き」された人間は,試練という意味で
宗教的に特別な人間になることでもある.
そうした背景が,エクソシストがとても足りない,という
状況を生み出しているらしい.

著者も感服しているという最大のエクソシストであった
カンディド神父の,

「その人の心が癒えることが,
むしろ病の癒しよりも重要なのだ」

という言葉が,エクソシズムの役割を示している.
心理的な癒しを与える意味で,伝統に則った
エクソシズムは,安心できるに違いないのである.

ところで,著者による心理学者のインタビューにおいて,
心理学者が,「悪魔憑き」において患者の示す
特異な能力(習ったことも無い言語を完璧に理解する,
身体に聖痕や文字が浮き上がる,
感覚が異常に鋭くなるなど)は,科学的に
実証できるものが多い,と話しているのだけれど,
その中で,「ポルターガイストだって,思春期の
女性の周辺で良く起こる」みたいなことを言っている.

いやいや,「ポルターガイスト」現象は,
科学的には実証できてないって,と思わず
突っ込みを入れたくなった.
もしそんな現象が科学的に証明できたりしたら,
この世の中のパラダイムが変わってしまうだろう.

とはいえ,この「エクソシスト急募」も,
大変面白く,人に自信をもってオススメできる佳作である.
(新書ということで,あっという間に読めるし)
誰か日本で「狐憑き」について,
調査報告してくれないかなぁ.


#「エクソシストとの対話」は大変な力作で
オススメなのだけれど,どうも現在絶版らしいことを知った

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