2007年9月4日火曜日

核融合炉の夢 (1)

先週の金曜日は,核融合科学研究所(NIFS)に出張してきた.
将来のヘリカル型炉の概念設計に関する研究会である.
私は,実は核融合に昔関連した研究開発を行っていたのである
(というか今もだけど.ただそれがメインではなくなった).

核融合は夢の発電である.
核融合発電には大きく分けて2種類ある.
ひとつは磁場閉じ込め核融合,ふたつめは慣性閉じ込め核融合である.

核融合反応を実現するためには,燃料である重水素や三重水素を,
非常に高温にして,一定時間保持しなければならない.

ガスである重水素や三重水素をどんどん加熱していくと,
ついには原子が電子と原子核に分かれる.
この状態をプラズマと呼ぶ.

プラズマ状態になると原子核はイオンとなっていて,
プラスの電荷をもっている.
プラスの電荷とプラスの電荷をもつ原子核同士をぶつけて
融合させるのが核融合反応である.

プラスとプラスは反発しあう.
だから原子核同士をぶつけるためには
それらを非常に高速に加速しなければならない.
加速といえば,加速器をもちいて粒子を加速すればいいのだけれど,
それではエネルギー収支的に発電炉として成り立たない.

そこで,バルクの(大きな体積を持つ)プラズマに電流を流したり,
ビームを打ち込んだり,電磁波を入れたりして,加熱していく.
(つまりは,多数の電子,原子核を一斉に加速している).

どこまで加熱するかというと,一般には1億度以上必要といわれている.
太陽の表面温度が6000度といわれているから,
それよりもずっと高温である.
当然地球上に,そんな高温なプラズマを入れておく容器は存在しない.
最も高い融点をもつタングステンでも3500度もあれば溶けてしまう.

そこで地球上に閉じ込めておくために,
磁場で真空中に浮かせて,どこにも触れないようにして維持する,
すなわち磁場で作った容れ物に燃料(プラズマ)を閉じ込めるのが
磁場閉じ込め核融合である.

一方慣性閉じ込めについては,説明がややこしい.

と,気づくとまるで核融合の講義のようだ.
ということで今日はここまで.
またいつか気が向いたら,この話の続きをします.

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