このブログの話題は,どうも堅苦しいものか,
学生への愚痴ばかりになりがちなので,
今日は珍しく音楽の話を.
私は音楽マニアではないけれど
音楽愛好家ではあると思っている.
どんなジャンルの音楽でも聴くけれど,
クラシックを聴く機会が多い.
先日も車を運転しているとNHKのFMから,
モーツァルトが聞こえてきた.
セレナーデ 第13番 ト長調 K.525
Eine kleine Nachtmusikの愛称で知られる
モーツァルト作曲の中でも最も有名なものだ.
実は私は有名曲というのは苦手である.
何度も聴いているために,新鮮味がなくあまり感動がない.
だから自分から進んで聴こうとは思わない.
たとえばベートーベンの運命とか
ブラームスの交響曲1番などは
聴くのは年に2,3度くらいのものである.
チャイコフスキーの交響曲5番などは
もう2~3年は聴いていないような気がする.
ということで,このモーツァルトの曲も,
ラジオから聞こえてこなければ,
耳にすることはなかったものである.
演奏は現代風の速いテンポで,
聴いていて気持ち良くはあまりならなかったけれど,
新鮮味が感じられて,聴き通すことができた.
(途中で嫌になる演奏も多い)
そこでこの曲を改めて聴いてみて思ったのは,
やはりモーツァルトはすごいということ.
こんな気楽そうな曲であっても,明るさの裏に
そこはかとなく悲しさやはかなさというものが感じられる.
まぁ,これは私だけが言っているのではないのだけれど,
本当にそう思う.
若い時にこれがかけたモーツァルトというのは
やはりずいぶんな才の持ち主なのだと感じる.
小林秀雄の「モオツァルト」に紹介されていた話だけれど,
(元ネタはロマン・ロランだったかな)
ゲーテは,それも晩年のゲーテは,
モーツァルトの曲は悪魔が姿を借りて書いていたに違いない,
と思っていたそうである.
それほど人間技ではない完成度と思っていたらしい.
確かに悪魔だったら書ける気がする...
しかし,モーツァルトというのは幼いころから見世物扱いされていて,
大きくなってからは(見世物としての価値がなくなって)
ずいぶんとつらい思いをしたらしいから,
そうした悲しい思いを隠して作曲をしていたと思うと
このような透明な悲しみを感じさせる曲を書いたとしても
おかしくはないような気がする.
十分に苦渋の人生を送っているのだ.
モーツァルトでは他にもいろいろ名曲があるのだけれど,
最近よく聴くのは,クラリネット五重奏曲かクラリネット協奏曲.
クラリネットの音色が秋に良く合う.
(追記)
久しぶりに,小林秀雄の「モオツァルト」を読んだら,
ゲーテの話のネタは,エッケルマンだった.
ここに訂正しておく.(2007.11.19)
2007年11月2日金曜日
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