2008年3月27日木曜日

私は道標

卒業式も済んで,
研究室はすっかり静かになってしまった.
寂しいものである.

今年も10名の学生がここから巣立って行ってしまった.
春休みでもあるので,在学生の影もない.
がらんとした研究室でひとりPCに向かっている.

以前にも書いたけれど,
大学に来て,若い人と毎日のように
顔を合わせることになってから,
私はすっかりと老けたような気がする.
彼らの若さを前に,相対的に年齢を感じてしまうのだ.

数年前の研究室の集合写真を見た.
私はまだまだ若かった.
今年の集合写真は,どうなっていることやら.
どんどん老けこんでいるような気がする.

集合写真では,毎年周囲の学生の顔ぶれが変わっていく.
変わらないのは教員ばかりである.
毎年の集合写真は,教員に対する定点観測である.

研究室に配属され卒業していく学生たちにとっては,
私たち教員は,彼らの長い人生から見れば,
ほんの短い間だけ関わりをもった
人間でしかないのだろう.
しかし,それでも彼らの人生に少しは役に立ちたいと思う.

ちょうど道標のようなものかもしれない.
私たちは学生たちの行く手を指し示す.
そして私たちの前を多くの学生たちが通り過ぎていく.
だが,その道標がどのようなものだったかは,
覚えているものはいない.

それでいいと思う.
そうした道標でありたいと私は思う.

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