2008年3月22日土曜日

情報の密度

福岡から帰ってきた.
本日で電気学会全国大会も終了した.
今回の学会では,
私が大学の研究室にいた頃の先輩,後輩が
非常に頑張っている姿を拝見した.
何人の人に会っただろう.
私が学生だったころ,一緒に輪講をし,
一緒にテニスをし,一緒に酒を飲んだ仲間が,
いま学会でともに頑張っている.
それだけで嬉しい.
各企業,研究所においても,
彼らは40歳前後ということで,
こうしたところに顔を出す機会が
多くなっているということだろうか.
そうした背景はともかく,
とにかくそうした姿には,勇気付けられる.
こちらも負けて入られない.

そうしたことを思いながらも,
博多駅で家族のためのお土産を沢山購入し,
新幹線で帰途につく.
おなかがとにかく空いていたので,
お弁当に地鶏おにぎり,
そしてビールを,席に着いたらすぐに食べる.
なんとか一息つく.
どうも空腹時は機嫌が悪くなるらしい.

アルコールのせいもあって,
まぶたが重くなる.
そしてまた,デジタルオーディオプレーヤーを耳にする.
マイルス・デイビスの"Kind of Blue"の
"So What"が流れてくる.
本当に至福の時だ.

先日もブログに書いたけれど,
今回このCDは,通常に比べ圧縮比を下げて録音した.
(ATRAC Advanced Lossless)
その代わり,いつもの3~4倍のファイルサイズに
なるのだけれど,音の臨場感が全く違う.
そのことに感動した.
他の曲は,これまでどおりの圧縮比で録音されているのだけど,
もう聴けない,という感じである.
たぶんポップスやロックならば許せるけど,
ジャズやクラシックの曲だと一度その差を実感してしまうと,
もう二度と戻れない気がする.

人間の五感は,こうした情報の密度の差を
はっきりと認識できるらしい.
素晴らしい能力だ.
以前,CDが登場した当時は,
人間の可聴域は20kHz程度だから,
それ以上の周波数帯は切り捨てて録音するという技術だったらしい.
しかし,それでは音質がずいぶん悪いと評判になってしまった.
(今でも80年代のデジタル録音のCDはちょっぴり音質が悪い)
その後,オーバーサンプリングなどの技術が出てきて,
今の音質の改善に至っているのだけれど,
こうしたクオリティに対して,人間の耳は正直である.

これは音楽に限らないのだと思う.
日常において人と人とのコミュニケーションにおいても
情報の密度の高さ,低さは,
正直に相手に伝わるような気がする.
同じ事柄を伝えるにしても,
単にその用件を伝えるだけのものと,
相手に対する心遣いが感じられるものの言い方では,
相手が感じる印象は大きく異なる.
コミュニケーションのディテイルに,
そうした臨場感,心遣いが表れる.
そうした情報伝達,コミュニケーションを心がけたいと思う.

音質が段違いに良いのはわかった.
あとは2GBの容量の制約の中で,
どの曲を持ち歩くか,という問題になる.
これが録音時間の長さという問題と相まって,
なかなかに悩ましい.

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