昨日は,遠くからお客様があって,
F先生と夕席をともにさせていただいた.
彼は,私が学生時代に隣の研究室に所属していて,
現在は,メーカに務め,第一線で活躍している人である.
(彼とF先生とは,あるプログラムのユーザグループを通した
メル友(!)だったとのこと)
これまで学会などで顔を合わせることはあったのだけれど,
ゆっくりと話す機会はなかった.
久しぶりに会うことが出来て
大変楽しい時間を過ごすことができた.
ここで盛り上がった話題のひとつが,
現在の博士課程卒業生の就職である.
いろいろと就職先がないとか,
逆に働いても仕事に融通が利かない,
などとあちらこちらで耳にする.
本当のところを彼に尋ねてみた.
彼の務めている会社では,
別に博士だからといって採用しないわけではない.
むしろ現在は博士卒の学生も求めているのだという.
やはり博士は,修士とは,課題の見つけ方,
取り組み方などが異なるということだ.
だからといって彼の会社でも
博士を多く採用できているわけではないらしい.
就職する際には,現在多くの会社で
ジョブマッチングというものが行われる.
一昔前のように,一括して会社に採用され,
研修を経たのち,どこに配属されるかよくわからない,
といったシステムではなく,
事前に自分が配属される部署と面接をして,
自分の希望する職種かどうかなどを
(採用する側から見れば,その人物を)
見定めるのである.
このジョブマッチングにおいて,
やはり博士課程で研究してきた分野と異なると,
博士卒の人は嫌がることがあるのだという.
F先生曰く,「新しい研究課題を見つけるような気持ちでないと」
私もそう思う.
博士卒の時点で自分の分野を限定するなんてもったいない.
以前にも書いたけれど,いろいろな分野の知識が
自分のポテンシャルを上げることになるのである.
また,私が前の職場で見てきた博士というのは,
いろいろなことができる人が多い.
専門バカという人も必要だと思うけど,
クロスオーバーな博士というのも大切だと思うのである.
就職先を自分の都合だけで選んでいたら,
それは就職難になってしまうだろうと思う.
彼の話を聞く限り,メーカだって博士に期待しているのだ.
確かに博士の価値は,日本では低い.
でも,その博士に期待してくれている人がいる.
だったらもっとトライしてみる人が増えてもいいと思う.
もちろん世界で活躍しようという人は
(あるいは世界に飛び出さざるを得ない人は)
博士を目指すべきだ.
昨日のメーカの第一線で活躍する彼の話を聞いて,
私は,大変心強く思った.
昨日はリクルートで来たわけではないのだけれど,
就職を希望する学生たちには,ぜひそうしたお話をしてほしい.
就職して10年以上の経験を踏まえた話は,
たぶん学生たちの心も打つことだろう.
(リクルータとして,入社して2,3年の新人を寄こす
企業もあるのだけど,私はあまり効果的ではないと思う)
まぁ,それはともかく,
久しぶりに彼とお会いできて大変うれしかった.
こうして訪ねてきてくれたことに深く感謝.
2008年11月21日金曜日
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訪問させたいただいた時間泥棒です。
返信削除お忙しい中、お相手いただきありがとうございました。
新しい課題を見つけ、その中から新しい研究テーマを創出できる博士を是非育ててください。
過去のブログも読ませていただきました。三浦先生の幅広い知識と洗練された歯切れのよい文章に敬服しました。ファンになってしまいましたので、ちょくちょくチェックさせていただきます。
先日はどうも有難うございました.
返信削除楽しくも,大変勉強になりました.
またいつかご一緒しましょう!
さて,過分なるお褒めのお言葉,有難うございます.そうおだてられると今後書きづらくなっちゃうなぁ...
今までどおり,適当に書いていきますので,長い目で見ていただくとありがたいです.
今後ともよろしくお願いします.