2009年3月15日日曜日

剣と杖の稽古

金曜日は久しぶりに合氣道の稽古に参加する.
最近はほとんど稽古に出る時間がとれず,
たぶん道着に袖を通すのは1ヶ月ぶりくらいのことである.
そしてこれが3月唯一の稽古参加となるのだから,
本当に恥ずかしいかぎりである.

金曜日は,剣と杖を少し稽古した.
これも今年初めて遣ったので,本当にヘロヘロの剣杖である.
人にはとても見せることができない.
しかし,剣と杖は,とても正直だと思った.
稽古不足が,そのまま技に現れる.

投げ技等の対人の技であれば,
相手をとりあえず投げてしまえば,
ある程度ごまかすことが可能である.

しかし,剣杖を稽古するとなると,そうはいかない.
真っ直ぐ振るだけでも,もう満足ができない.
独りで稽古するからこそ,ごまかすことができない.
自分の実力のなさに涙が出そうになる.

剣や杖というのは,自分に一番近い武器であるけれど,
一番遠い武器でもある.
それらは自分の思い通りに振るものではなく,,
彼らが勝手に動くことに,身体がついていく,という感覚が
一番相応しいような気がする.

自分で,なんとかしてやろうと剣を振ると
その剣は乱れてしまう.
「我」がそのまま現れて,結局思い通り遣うことができない.

それがある程度稽古して,剣と心が(氣が)一致してくると
剣がおのずと動いているような気がするから不思議である.
特に杖を遣っていると,自分が振っているのか,
勝手に動く杖に自分がついていっているのか,
わからなくなってくる.

そのような状態になってようやく少しは気が楽になる.
もちろん自分の目指すところには全然届かないが,
悔しくて涙が出そうになるということはない.

自分の思い通りにしようとすればそうならず,
剣杖に任せきってようやく自在に動くようになる.
この「我」を捨てるということが,
初歩ではあるけれど,実感できるのが
こうした武器の稽古である.

剣をひとつ振れば自分の状態がわかる.
現代に生きる私のようなものでさえこうなのだから,
昔の武士たちは,剣を振るときに何を感じていたのだろう.
そんなことに思いをはせるのである.





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