小論文の書き方に関する話をしていた.
やっぱり小論文は苦手との話である.
そうだよなぁ,だから理工系にいるんだものなぁ...
と,悩むことなかれ.
私は優秀な理工系の学生ほど,小論文は書けるのではないか,
と思っているのである.
なぜならば,小論文は小説ではないのだ.
人を感動させる必要はない.
では,小論文は何が目的なのだろう?
就職試験で小論文が課されるのだから,
なにかを評価することが目的である.
それは何なのだろう?
最近は,就職試験の参考書もたくさん出版されていて,
「小論文の書き方」なんて本も当然のようにある.
中身を見ると,各企業,いろいろなテーマを設定しているようである.
例えば,
「本当の豊かさとはなにか」
というテーマで1200文字の分量の小論文を
1時間程度で書くという課題があったとする.
まず,わかることは,このテーマに明確な解答は無いということである.
当然,人それぞれ,「豊かさ」の定義が異なるから,
どれが正しい,ということではない(どれも正しいかも).
すなわち,小論文を読んで評価する人事の人は,
数学の試験のように解答に丸をつけているのではないはずである.
では,人事の人たちは,君たちの「豊かさ」に対する
崇高なご意見を聞くために小論文を課すのだろうか?
Aさんは,こういう意見で,Bさんは,こういう思考をもっていて...
などとひとりひとり判断してるのだろうか?
そして,それによって採点に差をつけているのだろうか?
私はそうではないと思う.
なぜならば試験を受けた数日後には,合否の連絡があるという.
その数日の間に,受験者のそれぞれの意見を
そんな風にして評価する時間があるのだろうか?
そもそも解答のないテーマに関する論文の内容そのものに
評価で差をつけることができるだろうか?
私が思う小論文試験の目的とは,思いつくままにあげてみると,
1.思想的な偏向がないことを知る
2. 論理的な思考能力,文章を書く能力を知る
3.特別ユニークな考え方をする受験者をピックアップする
4. 性格的に問題がある人を落とすための口実にする
くらいなものだと思う.
1.は,その企業の利益に反するような思想を持っているかどうかを
判断する.たとえば,原子力関係の会社で,原子力反対派というのは
採用されにくいだろう.
2. が,一般的な受験者にとって最も重要なポイントであると思う.
これについては,後述.
3.は,ある企業ではユニークな人材を取りたいと思っていたとする.
マークシート試験などでは,そうした人材を見つけるのは難しい.
したがって,そうした目的のためには,小論文試験はふさわしい.
ただし,2.の項目ができての話である.
4.は,企業としては断る口実をつくる必要がある.
成績は優秀でも,やはり性格的に問題がある受験者はいると思う.
そうした受験者を落とすためには,こうした評価方法が不明瞭な
試験というのは,口実作りに良いことになる.
と,ちょっと嫌な話になってしまったけれど,
基本的には,「2. 論理的な思考能力,文章を書く能力を知る」ことが
目的なのだと思う.
答えがない問題については,
自分の出した解答が正しいとは言い切れない.
では,何が大切か?
それは,「相手を説得できる」ということである.
答えの正しさが重要ではない(本質的な誤りはまずいが).
要は,自分の考えを論理的に説明し,
その根拠,理由を明らかにし,
相手を説得できるか,ということなのである.
そこには小説のような感動は不要である.
いかに水も漏らさぬような論理展開をして,
自分の考えを相手に納得させるか,
という能力が必要なのである.
まずはそれが目的であることを忘れないようにしよう.
書いてある内容の崇高さなどはどうでもいい.
またレトリックのうまさなどは必要ない.
相手を納得させるための戦略こそが重要だ.
優秀な理工系の学生であれば,
実験レポートや論文などで,
こうした論理展開は得意なはずである.
だからこそ,小論文は理工系の学生にとって
難しいものではない,と私は思うのである.
具体的にどのように書いたらよいか,という
私の考えは,また近いうちに書きます.
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