各研究室の秘書さんたちが,一生懸命
携帯電話を太陽にむけてなにかを撮影している.
不思議に思って何をしているのか尋ねてみると,
なんと太陽の周りに円い虹ができていて,
それを撮ろうとしているのだという.
私もまぶしい目をこすりこすり
太陽を見てみると,たしかに太陽の周りに
うっすらと虹がかかっている.
お話を聞くと,しばらくの間は二重にも
虹がかかっていたとのこと.
残念ながら私が見たときには
すでに一重の虹しかなく,
それも見ている間にうっすらとかすんでしまった.
それが「日暈(ひがさ)」と呼ばれるもので
あることはすぐわかったので,
あぁ,これから雨が降るのかな,と思った.
そのようなお話を秘書さんたちにしてから
弁当を購入して席に戻る.
そこでふと気がついた.
そういえば,私が「日暈」を見たのは
実はこれが初めてではなかったか.
なのにほんの少しの感動しか得られなかった.
それが空中にただよう氷の結晶の粒の
プリズム効果によってできるものであると
知っていたことで,自分はそれを
既知であるかのもののように
普通に受けとってしまったのである.
なんとも恐ろしことである.
原理を知っていることなんて全然大切ではない.
それが自然界に存在すること自体に
感動すべきなのだろうに.
自分がそれを初めて見たということさえ
認識できなかったなんて...
弁当を食べながら,反省する.
大事なのは,自然界にそうした現象が存在することへの
畏敬の心と感動をわすれないこと.
そして,そうした稀有な現象を見つけることができる余裕,
すなわち,空を見上げる機会をもつような生活を送ること.
そんな素敵な毎日でありたいものである.
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