2024年3月10日日曜日

新潟県立歴史博物館(1)~ 火焔土器 ~

 美術館と博物館は地方を訪れたときによく行くのだけれど,長岡に越してきて5年。大学の近くにある新潟県立歴史博物館には足を運んだことがなかった。研究室の学生たちや周囲の人から「良いから一度は行くべき」などと話を聞いていたのだけれど,逆に近いとそのきっかけがなかなか見つからない。それでも,2月の終わりに仕事の一部に一段落つくことができたので,(気分転換のために)「よし」と心を決めて歴史博物館に行ったのである。

県立歴史博物館というだけあって新潟県の歴史が紹介されているのだけれど,時代は遡ってなんと縄文時代のころから(実はその前から)展示解説されている。長岡市は「火焔土器」が発掘されたことで有名だから,そうした土器がズラッと並べられている。

私は長岡に来てからこれらの土器について

  • 「火焔土器」が出土されたのは長岡市の馬高・三十稲場遺跡であるということ(今回訪れた新潟県立歴史博物館のすぐ近くに馬高縄文館とともにあります)
  • 「火焔型土器」とは「火焔土器」型の土器という意味で(「火焔型」は型式を表す),意味が少し違うこと
  • 「火焔式土器」とは呼ばず「火焔型土器」と呼ぶこと(小さい頃は「火焔式」で習ったような…)
  • よく似ている土器に「王冠型土器」があること

などを知った。6000年も前に生きていた人たちがこれらの土器を用いて炊事を行っていたかと思うと,人間がずっと行ってきた営みについて深い感慨を持つ。

私は諸星大二郎という漫画家が大好きだから縄文の話は結構好きなのだけれど,実際のところどんな生活をしていたのかなどぼんやりしかわからない。それがこの博物館では,縄文人の暮らしが人形と家屋の模型などを用いた大きな複数のセットでわかりやすく説明されていて,たいへん面白くみることができた。

彼らには年を取ると歯を抜く習慣があったとか,船を作る技術があったとか,また装飾品をつけていたことなど,古代ロマンを感じさせてくれた(一方で,同時代のローマではすでに水道や浴場,道路が整備され,馬車や石造りの宮殿があり,フレスコ画や彫像で芸術が盛んだという,文明の違いを思っていたけれど)。しかし,なぜこんな雪深いところに住んでいたんだろう...?と思う。

漫画家でいうと諸星大二郎(「暗黒神話」とか)や星野之宣(「ヤマタイカ」なんて最高!)に興味のある人,そして縄文時代にロマンを感じる人はぜひ足を運ぶべき博物館だとオススメしておく。

新潟県立歴史博物館(駐車場があります)

長岡駅にある火焔土器のレプリカ。縄文時代に魅了された岡本太郎の言葉が添えてある。


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