「フォークト=カンプフ検査」は映画「ブレードランナー」に出てくる,レプリカントと人間の区別をするための検査である。レプリカントは人間そっくりに作られた人造人間で,人間でないと見極めるためには,この検査を行う必要があるのだ。検査は,被験者に向かって心が動くような質問をする。そのときの被験者の反応を見て,レプリカントか人間かを判断するのだ。
映画では,ハリソン・フォード演じるブレードランナーであるデッカード刑事が,自分がレプリカントであると知らないレイチェルにこの検査を行い,彼女がレプリカントであると見抜くシーンが出てくる。このためにレイチェルは自分がレプリカントであり,自分の記憶が偽造されたものであると知ってショックを受けるのだけれど,そこまでわかりづらいレプリカントも100個程度の質問で判断できるとデッカードは答えている(普通のレプリカントであれば質問の数は20~30個程度らしい)。
今こそブレードランナーが必要になってきたと私は思っている。それは,この生成AIの発展が著しい現代で,フェイクかリアルかを判断できる能力が必要となってきたということである。
著名人が話している動画を見ても,その姿からリアルかフェイクかを判断するのが難しくなってきている。話している内容も,本人が話しているものなのか,誰かがシナリオを書いたものなのか,それともAIが考えた原稿なのか,私にはもう判断できなくなっている。誰を信じたらよいのか。。。
リアルとフェイクを見分ける基準はないだろうか?あるいは適切に見分けることができる質問はないだろうか?たぶんそれらの手段が共有された瞬間に,また新たな対抗手段が生み出されるだろう。そしてフェイクがありふれた世界がやってくるのだ。それは世界の終わりである。
そんな未来はすぐ近くに来ている。それはChatGPTを用いて書かれた学生たちの課題レポートを読んでいるとヒシヒシと実感する。
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