2007年6月5日火曜日

ダ・ヴィンチのノート

ダ・ヴィンチのノートは,理系心をくすぐる。
精緻なデッサンと絶妙なレイアウト。
見るからに,その才能を感じさせる。
ひとつの芸術作品といってもいいかも知れない。

指揮者でもあった作曲家のストラビンスキーは(だったかな),
音楽の良し悪しは,「まず筆跡だ」といったそうである。
楽譜がきれいに書いてあることが,良い音楽の条件であるとのこと。
悪筆で書かれた楽譜(もちろん自筆譜)に傑作はないのだという。

ダ・ヴィンチのノートも,
そういう文脈で語ることができるのではないか。
デッサンの素晴らしさは画家という職業柄
素晴らしいのは当然かもしれないけれど,
思考の軌跡がわかるように図と書き込みが配置されている。
文章は何が書いてあるのか私には理解できないけれど,
思わずじっと見つめてしまう,そんなノートである。
何度見直すことがあっても飽きることがないだろう。

ダ・ヴィンチのノートを見て感じるのは
Visualizationという能力の大切さである。
抽象的なアイデアを形に表すということ。
これこそが研究者,特に工学者に必要な能力ではないだろうか。
形而上学的な考えを形而下である図・モデルに示すには,
それなりの省略化,あるいは不足を補って詳細化という
プロセスを経なければならない。
このプロセスが,そのアイデアの深化を促す。

このことに気づいたからには,
これから図はもっときれいに・丁寧に描こうと思う。

たとえちょっとしたポンチ絵であっても,
大事なところは押さえて,その部分の主旨は
正確に伝わるように描く。
大事なものとそうでないものを取捨選択し,
要点を押さえて描く。
これこそがアイデアを錬るという作業に
他ならないのではないだろうか。

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