大阪大学 電気系の学生の諸君の就職活動も一段落しつつある。
今年は2~3年前の状況がすっかり変化して,
ずいぶんと売り手市場だったらしい。
それでも皆安定志向なのか,
有名大手企業への希望が集中し,
それなりに競争があったという。
大変なことには変わりないということか。
さて,就職活動の時期になると,リクルータと呼ばれる人たちが
頻繁に大学を訪問するようになる。
彼らは学生たちを企業に勧誘する目的で来るのだ。
大学としては,大変に有難い存在であり,
講義・研究の邪魔にならないのであるならば,
どんどん来訪していただきたいと思う。
ただ,こうしたリクルータの方々を見ていて気になったことがある。
リクルータとして入社後2~3年の新人を
送り込んでくる企業があるということだ。
一体どういうつもりなのだろう。
本気で勧誘に来ていないということなのかと不思議に思う。
企業の方に尋ねたい。
入社2~3年で会社の一体何がわかるというのだろう。
みなさんは,2~3年で仕事の面白さ,難しさ,
そしてそれらの奥深さを理解していたのだろうかと。
そんな若いリクルータに会社について何が話せるというのだろうか。
そうした若いリクルータたちは,
自分が会社を代表しているという責任感がどうも希薄な気がする。
どんなことを学生たちに話しているのか,
果たして上司のみなさんは把握しているのだろうか。
ここで紹介するのも憚られる酷い話も結構ある。
私がその会社とお付き合いしている印象では,
そんな酷さなどはないというのに。
(学生たちも決してそうした話を鵜呑みにしてはいけません!)
私はやはり最低入社後7~8年以上の社員を
リクルータとして派遣してほしいと思っている。
仕事の酸いも甘いも一通り経験していると思われるからだ。
学生たちも本当はそういう話をじっくり聞きたいと思っている。
若いリクルータには,確かに学生たちが
気楽に話しやすいというメリットがある。
だが,彼らが話す仕事や会社のイメージは,
彼らがこの2~3年で持った一面的なものでしかない。
学生たちも,入社後の生活がどんなものになるのか,
そうした具体的な情報を得ることができるだろうが,
そんな情報は2~3年でほとんど役に立たなくなるだろう。
それよりもやはり中堅の方々に,
会社の奥深さを話してもらった方がずっと学生たちのためになる。
ただ,会社の方もリクルータとして働いてもらうために,
そんな第一線の人に一日現場を離れてもらうのは
困るというのも理解できる。
本当に優秀な人は,一日でも現場を離れれば,
職場にそれなりのダメージが生じるものである。
だが,10年後,20年後の会社の将来を担う優秀な人材を
確保することは社運を決定づける重要な仕事のひとつである。
会社は人。開発は人。なのである。
やはり人事はなによりも優先されるべきだと思う。
中堅の方とは学生が話しにくいというのであれば,
若手とペアを組んでリクルートに来られてはいかがだろうか。
とにかく若手の話す会社や仕事のイメージでは,
勧める側の大学としても困るのである。
今年も中堅以上の方がリクルータとしていらして,
しっかりと学生と時間をかけて話し合っていただいた企業には,
やはり優秀な生徒の就職が決定しているように思える。
リクルートに来られる企業の方には
ぜひご検討いただきたいことである。
2007年6月20日水曜日
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