2007年6月29日金曜日

阪大生は面接が不得意?

就職活動もピークは過ぎたが,
まだ頑張っている学生もいる。

ある会社の試験に落ちたとしても,
決して人間性が否定されたわけではない。
ただ,その会社のニーズとマッチしなかっただけである。
どこかに君を待っている会社がある。
また次にチャレンジして欲しいと思う。

だが面接試験で落ちるのは結構つらい。
グループで面接を受けても,
なぜ自分が落ちたのか理解できないこともしばしばである。
最近は面接試験が重視されているために,
そこでの失敗は大きく結果に響くのだ。

私はこの面接試験を重視するという方針が嫌いである。
話がうまくなくても,能力が高い学生はたくさんいる。
しかし,こうした学生は何回も受ける面接試験において
落とされてしまうことが多い。
逆に成績が芳しくなくても,面接の印象で合格する人もいる。
他大学の先生とこの問題について話すことも多い。

企業の言い分もわかる。
現場が欲しいのはコミュニケーション能力である。
上司や同僚とうまくやっていく能力。
現在の職場は,グループで仕事を遂行するのがほとんどである。
個人でやることはほとんどない。
個人で仕事や研究がしたいのであれば,
職場を選ばなければならないだろう。
(たとえば,プリンストンの高等研究所とかにいけば…)

グループでの仕事においてはコミュニケーション能力が不可欠である。
他人との協調性が求められる。
信頼関係をくずすような行動をする人がいると,
グループの仕事効率は一気に劣化してしまう。

だからそうした人間をふるいにかけるために
面接試験を行うのだ。
(私もそうした社会性のない人間は嫌いで,
よほどの天才でない限り,私も採用しないだろう)


ここで,阪大生には面接に弱い人が多いのではないだろうか。
というのが今回の主題である(まくらが長い!)

阪大生においては,学校の推薦枠というものがある。
学校の推薦状をもらって会社を受験するのである。
昔はこの推薦状に権威があった。
学校から推薦された学生を落とすということは,
その学校の面目を潰すことになるからだ。
当然,翌年にはその企業には学生を送らない。
そうした時代があった。

しかし,就職氷河期を経て,
すっかり学校の推薦状の価値は下がってしまった。
学校推薦であっても結構な割合で試験に落ちる学生がいる。
この原因で多いのが面接試験の失敗なのだ。

推薦された学生は,当然その一社しか受験しない。
いきなり本番である。
緊張するのも当たり前。
どぎまぎした態度で,
受け答えもしどろもどろになってしまう。
あるいは,丸暗記した文章をテープレコーダのように
話してしまう。
そんな学生が落ちることが多いようだ。

一方,他校の学生たちはこの会社に来るまでに
何社も受験している。
百戦錬磨の就職試験のプロと化している。
そうした人たちの受け答えが
ずいぶんと洗練されているであろうことは
想像に難くない。
比較されたら阪大生はずいぶんと分が悪いことになるだろう。

もともと吹田キャンパスの阪大生は
コミュニケーション能力が低いのではないか。

吹田キャンパスは,特に工学部は部活動が活発でない。
サークルはいくつかあるようだが。
体育会の学生が重宝されるのは,
その社会性の良さからである。
目上の人との接し方,同僚への気遣い,
そうした周囲への気配りが利くように指導される。

そうしたことを嫌って,
上下関係のゆるいサークルなどに入っては,
いつまでもそうした人間関係を学べない。
自己中心的な主張がいつでも,誰に対してもでき,
いやだったらサークルにでなければよいのだ。

しかし,周囲への気配りができないということは,
仕事の現場では許されないのである。

自分の意見を,周囲に配慮しながら的確に述べる。
あるいは自分の責任を自主的に果たす。
こうしたことは集団行動の規律が問われる
体育会系の部活においてこそ身につけやすいのではないか。
それが吹田キャンパスには足りないのである。

もちろん,社会性を身につけるには,
その他の方法もたくさんある。
しかし,そのためには社会に出ていかなければならない。
学校が終われば家に帰ってネットかゲーム。
バイトも家庭教師。
そんな生活では,やはりコミュニケーション能力は
身につかないのではないだろうか。

研究室に入ってから,プレゼンテーションの能力を
身につけさせることはもちろん必須である。
しかし,発表はうまくできても,
質疑応答をうまくこなせるためには,どうしても経験が必要である。
それを研究室の3年間。
それもずいぶんと限られた発表の機会だけで
身につけるというのは限界がある。
結局日頃の地力がものをいうのである。

面接試験で成功するためには,
日頃の努力が必要なのだ。
そのために,阪大生には進んで社会とかかわりをもって欲しい。
そして地力をつけるのだ。

さて,最後に人と協調して働くのが嫌だという人はどうすればよいか。
一つの解は,大学の教員になることである(笑)。

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