ダ・ヴィンチのノートは,理系心をくすぐる。
精緻なデッサンと絶妙なレイアウト。
見るからに,その才能を感じさせる。
ひとつの芸術作品といってもいいかも知れない。
指揮者でもあった作曲家のストラビンスキーは(だったかな),
音楽の良し悪しは,「まず筆跡だ」といったそうである。
楽譜がきれいに書いてあることが,良い音楽の条件であるとのこと。
悪筆で書かれた楽譜(もちろん自筆譜)に傑作はないのだという。
ダ・ヴィンチのノートも,
そういう文脈で語ることができるのではないか。
デッサンの素晴らしさは画家という職業柄
素晴らしいのは当然かもしれないけれど,
思考の軌跡がわかるように図と書き込みが配置されている。
文章は何が書いてあるのか私には理解できないけれど,
思わずじっと見つめてしまう,そんなノートである。
何度見直すことがあっても飽きることがないだろう。
ダ・ヴィンチのノートを見て感じるのは
Visualizationという能力の大切さである。
抽象的なアイデアを形に表すということ。
これこそが研究者,特に工学者に必要な能力ではないだろうか。
形而上学的な考えを形而下である図・モデルに示すには,
それなりの省略化,あるいは不足を補って詳細化という
プロセスを経なければならない。
このプロセスが,そのアイデアの深化を促す。
このことに気づいたからには,
これから図はもっときれいに・丁寧に描こうと思う。
たとえちょっとしたポンチ絵であっても,
大事なところは押さえて,その部分の主旨は
正確に伝わるように描く。
大事なものとそうでないものを取捨選択し,
要点を押さえて描く。
これこそがアイデアを錬るという作業に
他ならないのではないだろうか。
2007年6月5日火曜日
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