牛を水場に連れてきても,
水を飲むかどうかは牛次第だ。
という話をときどき聞く。
すなわち,周囲がお膳立てしても,
やるかやらないかは本人次第ということだ。
現代の若者はマクドナルド世代である。
「OOはいかがですか?XXはいかがですか?」
そう尋ねられたものについて答える。
向こうからやってくるものを選択すれば良い。
自分からつかみとろうとする努力が足りないような気がする。
ある大学の先生から伺った話。
(先生)「なぜ卒業研究を進めないのだ?」
(学生)「だって,先生がデータをくれないから」
(先生)「・・・(絶句)」
すなわち,実験データでさえも与えられるものだと思っている。
研究が進まないのは,先生が情報をくれないからだと思っている。
大学の研究でさえも,なにかの課題や演習と勘違いしているようだ。
研究では当然,自主性が求められる。
決して,先生がこうしろ,ああしろ,
という言葉に従って動いていればよいのではない。
自分で問題を見つけ,それを解決するということが求められる。
その手段も自分で見つけていくことが期待されている。
マクドナルドの店員のようにあれこれ尋ねてくれる人はいない。
大学では,そんな学生たちのモチベーションをあげるために,
あれこれと手を打っている。
(昔はそんなことはなかったのに…)
いろいろなプログラムを用意したり,
講義の内容,やり方も以前に比べれば
ずっと工夫されるようになってきた。
それでも,彼らは勉強をしない。研究をしない。
結局,水を飲むか飲まないかは牛次第なのである。
だが,先日ふと思った。
その水が非常に美味しいことを知っていたら,
こちらが飲むのをやめさせようとしても,
水を飲もうとするのではないか,と。
環境を整えてやるということも大切だけれども,
研究の面白さをどううまく伝えるのかが
もっと大切なのではないかと思ったのである。
研究が面白ければ,なにも言わなくても
学生たちは喜んで研究してくれるだろう。
このことを思いついたのは,
蛍の唄を子どもが歌っているときである。
「こっちの水はあまいぞ」
と蛍に教えてあげれば,蛍は寄ってくるのである。
現実問題,研究はそれほど甘い水ではない。
しかし,もう少し研究の面白さを伝えることができればと思う。
学問・研究の面白さを伝えることが,
大学の講義の意義であると常々考えているが,
(そうでなければ教科書をマスターすれば十分)
それがまだまだ足りないということか,と反省。
2007年6月21日木曜日
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