理工系の生涯賃金が文系に比べ平均5000万円低いという話の続き。
3月に参加した教育シンポジウムの発表において,
理工系出身の社長の割合が,他の先進国に比べ
非常に低いという話があった。
理工系出身の社長が少ない,といことは
会社役員に理工系出身者が少ないということに通じる。
もっというと理工系出身者は出世しづらい?
だから生涯賃金に格差がでているのではないだろうか。
実は,日本のGDPに製造業が占める割合はおよそ2割。
残り8割を支えているのは製造業ではないらしい。
(「ものづくり国家」などといっても所詮この程度なのである)
だから理工系出身の社長が少ないのは
仕方がないのだろうか。
しかし,ドイツ,フランスなどにおいては
理工系出身の社長の割合は日本に比べずっと多い。
中国なんて理工系天国である。
この差に日本の理工系出身者の特徴があるのではないだろうか。
先日あるホームページで,
「こんな上司にはこう対応しよう」という
趣旨の記事を見た。その中のひとつに
「技術出身の上司が細かいことを言って困る」
というシチュエーションが挙げられていた。
なぜ「技術出身の」という形容詞がついているのか。
そこに腹が立った。
つまりは,世間的には理工系出身者は
どうも社会的に問題があると見られがちだという事実を
示しているのではないだろうか。
実際,そうした事例が多かったからこそ
こうしたイメージが定着したのだと思う。
だが私は工学的なセンスを非常に信頼している。
会社でプロジェクトを管理できるのは
工学的センスの持ち主だけだ。
(文系出身者にももちろんこのセンスを持つ人がいる)
時間とモノ,人などのリソースを適切に分配し,
リスクを考慮しながら,コスト・時間で最適な進め方をする。
「細かい」というのも特長のひとつでもあるのだ。
だが,やはり何かが足りない人が多いという印象は実は私も持っている。
積極的に経営に参加せず,
自分の分野だけに集中したいという志向を持つ人が確かに多い。
そういう人もあってもちろんいい。
一生現場で第一線で活躍する。
そうした人生も素晴らしい。
でもそうした人だけではないはずだ。
生涯一技術者でありたくても,
マネージメントに参画しなければならなくなる方が普通だ。
その時点で文系出身者と競争し,負けてしまう。
上に立った時にマネージメントのスキルが不足しているのだろうか。
それとも経営のノウハウが足りないのだろうか。
私はそういう経験がないのでわからないのだが,
正直悔しい気がする。
やはり理工系には何かが不足してしまうのだろうか…
しかし,考えてみてほしい。
ソニーの井深大も
ホンダの本田宗一郎も,
そしてアップルのジョブスも,
マイクロソフトのゲイツも
グーグルの創業者も
みんな理工系出身ではないだろうか。
決して理工系だから社長になれないというわけではない。
たぶん理工系出身者には何かの努力が足りないことが多い,
それだけのことなのだろう。
それに気づいた人がたぶん出世しているのだ。
2007年6月14日木曜日
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