そろそろ修士1年生のみなさんは,就職が気になってくる.
最近はずいぶん就職活動を始めるのが早くなっているようだ.
大学としてはずいぶん困るのだけれど,
企業としても必死なのだろうということもわかる.
なんとかうまくいかないものか.
私が学生の頃は就職なんて,
大学の決めた枠を争って,1日や2日で相談や,
じゃんけんをして会社を決めていたのだから,
今から比べるとずいぶん適当なものである.
(4年生や修士のころはバブルだったし)
最近はまず会社にエントリーというものをするらしい.
もうそれだけで大変そうである.
ここで提出するエントリーシートというものがクセモノである.
自己紹介や未来の自分,学生時代に頑張ったものなどを
書かされるわけである.
学生たちは受験生だったころと同じように,
対策本を読んで,こうした自己紹介などを書く.
私もそうした対策本を研究室の学生に見せてもらったのだけれど,
これが吹き出すほどにおかしい.
例文などを読むと,まるで小学生か中学生の作文である.
たとえば「最近怒ったこと」などの例題の回答を読むと,
ドラマ仕立てに,席をゆずらない若者に怒ったことなどが
書かれている.
なんというか,なまじストーリがあるために,
本当に陳腐な作文になっている.
これを例文として書く学生の文章などは,
いったいどんなものになるのだろうと,
このブログでこんな稚拙な文章を書いている私でさえ,
心配してしまうほどである.
あれを読んで,人事の人のこころが動くのだろうか?
はなはだ疑問である.
では,どうすれば良いかと言われると困ってしまう.
私も自己紹介文を書けと言われれば,
陳腐な文章で埋め尽くしてしまうのかもしれない.
そんなときにヒントになるのが「カキフライ理論」である.
これは作家の村上春樹氏が柴田元幸氏との共著,
「翻訳夜話」の中で紹介している話である.
村上氏に,原稿用紙3枚で自己紹介を書けといわれた場合に
どうしたらよいか,という相談があった.
確かに原稿用紙3枚では何もかけない.
それで,村上氏は「好きなカキフライ」について
書いてはどうかというのである.
(別に揚げものでなくてもいいそうである)
自分について書けと言われると
どうしても煮詰まってしまう.
そして,自分について書いた文章は
どうも説得力がない.
そこでカキフライについて書く.
カキフライについて書くことは自分を書くことと同じ.
カキフライと自分との距離を書くことによって,
自分を表現できる,ということ,だったと思う.
つまりは,自分について書くときには
別の視点をもってくるということが有効らしい.
こうしたテクニックが本当にエントリーシートに
役に立つかどうかはわからない.
しかし,対策本にあるような例文よりは
ずっとましな文章になることは間違いない.
2008年2月19日火曜日
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おはようございます
返信削除カキフライかどうかは、忘れましたが、どこかで同じ様な話を聞いたことを思い出しました。
私の就職活動は、たしか5月頃だったように記憶してます。
自分で、就職課の資料室で会社を選んで、研究室の先生に聞いて、面接に行きました。その会社に先輩が何人か居ましたので(研究室の先輩も)そのまま、内定もらったと記憶してます。面接行ったのは1社だけでした。その当時、バブルのちょっと前で景気も良く、例年より2ランク位上の会社に結構入社してた様に記憶してます。
私は、大学時代余り(ほとんど)勉強してなかったので、分相応の会社に入りました(会社としては失礼な話でしょうけど)
三浦さんには、次のコラムはどう見えますか?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080212/147016/
私は、半分くらいは納得して読みました。
日本は、十分にその特徴(トヨタを代表として)を生かしてグローバルに展開できてると考えるのですが、日本も変わらなければいけないのでしょうか?
いつも駄文で、すいません。
駄文だなんて,こちらこそひどい文章で申し訳ありません.
返信削除さて,ご紹介いただきましたコラム拝見いたしました.残念ながら私は研究所・大学とまいりましたので人事のことは疎いです.
チームプレーなのか個人プレーなのかということでしょうか.あるいは,性格なのか,才能なのか,ということでしょうか.
会社におけるチームプレーについては,以前にこのブログについても書きましたが,確かに会社はチームプレーを要求することが多いようですね.しかし,別の企業の方は10人の秀才よりも一人の天才が欲しいとおっしゃっていましたけど.
ただ,チームプレーを要求されても,現代の若者はそうしたことに慣れていないというのが現状のようです.自分の能力を正当に評価してもらえないと,非常に不満を感じるようです.
おっしゃる通り,チームプレーは日本の美徳かと思いますが,それを実現するのは,今となってはなかなか難しいのかな,と思います.