2009年12月22日火曜日

Sourceにあたろう

どこかの裁判で被告がWikipediaを丸写しして
書類を作成し,それが間違いだったことが判明したという
ニュースを読んだ.
なんともはや...

Wikipediaは大変便利なのだけれど,
そこに書かれていることが正しいとは限らないことを
私たちは心していなければならない.

学生たちのレポートにも,ちょっと以前は
Wikipediaの記事をコピペしたものが見受けられ,
その内容が正しいとは言えないものもあった.
(最近はさすがにWikipediaのコピペはなくなった.
どこかでこっそりと書かれていた記事をコピペしているのだろう.
なぜなら文体が明らかにおかしいもの)

しかし,インターネット世代の若い人達は
ネットの情報を信じやすい傾向にあるようである.
私みたいな年をとった人間にとってみれば,
いまだにネットは怪しいものが跋扈している世界だから,
それほど鵜呑みにすることはないと思っているが.
(とはいえ,ダマされることも多々あるけれど)

Wikipediaというのは,ボランタリーに運営されているけれど,
一部ではいじめともいえる個人攻撃がされたり,
デマが書かれたり,ナショナリズムを煽るような記述が
繰り返し書かれたりして,決して心健やかな人ばかりが
記述しているわけではないことを予め知っておく必要がある.
以前にそうした騒動に巻き込まれ,Wikipediaの人たちと
対決した人は,Wikipediaは「腐っている」とまで言っている.

Wikipediaはヒントになることが書かれていることも多いが,
学術記事や論文の参考出典には成り得ない.
書かれている内容に,誰も責任を持たないからである.
だから学術論文においては原典主義ということが
必ず守られなければならない.

今年読んで印象に残っている本のひとつに,

「狼少女はいなかった~心理学の神話をめぐる冒険」
(鈴木光太郎,新曜社)

がある.著者は否定されても何度も復活してくる話を
「神話」とよび,その例として「狼に育てられた少女」,
「映画館でのサブリミナル効果によるポップコーンの
売上」の話などは,そのもともとの話に信頼性がないのに,
噂だけが先走って,本当にあったことのように
認識されていると指摘している.
またその噂を広げる人たちが,いかに原著にあたっていないか,
原典主義から外れているかを批判している.
上記の「神話」の信頼性は怪しいと言っているのだ.
(私も原典にあたっていないから,なんとも結論づけられないが.
ただ,なぜ否定されても復活するかという人間の心理には
非常に興味がわく)

とにかく我々もネット上の情報に踊らされることなく
冷静にその情報のソースにあたることを忘れてはいけないのだ.
そう思えば,Wikipediaだけを信じることがどれだけ危ういことかわかる.

新聞でさえも,複数の紙面で記事を確認しているという人は多い.
誤報もあれば,各新聞の論調によって記事はいかようにでも
変わるのである.
(新聞記事がどれだけ不確かか,科学技術記事をみるだけでも
よく理解できる.またどれだけ意見がゆがめられているか,
それこそネットでの情報と比較することによって最近特に
明らかになってきた.私たちは騙されてはいけないのだ)

ひとつの分野を知りたければ,その分野に関するテキストを
やはり数冊は少なくとも読むと良い.
そこに共通しているトピックスはやはり重要であろうし,
一方で他とは異なるそのテキストの特色も理解できる.

この世の中は情報で満ち溢れていて,
どの情報を信じて良いかわからなくなるけれど,
まずは落ち着いて原典にあたり,次にその周辺にあたる.
そうした心がけをするだけでも,この世の中をわたるのに
ずいぶんと確かな足取りをもつことができるだろう.

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