今期のTVドラマで「転職の魔王様」を観ている。主演は,小芝風花と成田凌。他にも,石田ゆり子,山口紗弥加などが出演していて,彼らが務める転職エイジェンシーの話。毎回依頼者に関わるヒューマンドラマに加え,エージェントとしての小芝風花の成長物語にもなっている
小芝風花の魅力はこのブログでも過去に取り上げていて,このドラマでもそれに間違いないのだけれど,今回は成田凌の魅力について。
今回のドラマでは,成田凌演じる,事故で片足が不自由になった転職エージェントの「清潔さ」が特に印象に残る。なぜそう思うかというと,その役柄が,番組宣伝のために情報番組やバラエティに出演している彼の印象とは大きく違うように思えるからである。どうも彼は,もっとだらしない,というか,ちゃらい,というか,それでいて憂いをもつようなろくでなし,それらが混じり合って魅力になっている俳優だと思っているのである。だから,NHK朝ドラ「おちょやん」で演じた,浮気をし主人公(杉咲花)を苦しめるようなどうしようもない男である旦那役がぴったりだと思っていたのである。そしてその期待通りの素晴らしい演技だった。
その彼が今回演じる小芝の先輩エージェントは,静かで,思慮深く,清潔感をもち,頼りがいがある男である。それが他の番組の彼を忘れさせるほど,素晴らしいのだ。いや,これが俳優というものなのだろう。彼の演技の振り幅にあらためて感心してしまう。
私としては,もっとピカレスクロマンのような,あるいは女をたらしこむような不道徳な役を彼に期待してしまうのだけれど,今後も変わらず清濁併せ呑む幅広い役に挑戦して欲しい。成田凌はその度に,「今度はどんな演技をするのだろう」と期待させてくれる,素晴らしい役者なのである。