20世紀の偉大な指揮者であるフルトヴェングラーのアインザッツは,
指揮棒がブルブルと震えていたために,
楽団員に非常に緊張を与えていたのだという.
いつはじまるのか,そのタイミングが取りづらかったらしい.
だから彼の録音,たとえばベートーヴェンの第5番交響曲であっても,
その始まりは,どの録音についても印象が異なる.
演奏自体も,どの録音もかなり違うテンポで演奏されたりしていて,
そのたびにはっとさせられる.
彼は楽団員にこういっていたという.
「君たちはもう何万回と演奏した曲かもしれないが,
聴衆たちにとっては,それが初めて演奏されるように
聴こえなければならない」(詳細うろ覚え)
常に新鮮味を感じさせ,
感動を与える演奏でなければならないということだろう.
なぜこんな話をしたかというと,
本日今年で4年目となる講義の2回目があった.
最初の年の,私が持っていた一生懸命さが,
今は失われていないか,
そう不安に思ったのである.
やはり教員の熱意は学生たちにダイレクトに伝わる.
講義する内容は一緒ではあるけれど,
非言語的になにかが確実に学生たちに伝わっている.
それは熱意であったり,あるときはなまけ心かもしれない.
そうしたことを考えるとき,
私はフルトヴェングラーのこの話を思い出して,
また気合いを入れ直すのである.
私にとっては4年目の講義であっても,
学生のみなさんにとっては初めての講義なのである.
今日の講義も,この気合いが
みんなに伝わったのならば良いのだけれど.
いっそフルトヴェングラーをみならって,
一体何を話すかわからない講義にして,
学生たちの集中を促そうかな,とも考えるけれど,
そうなったら苦情・不満がでるだろうな,やっぱり.
2007年10月11日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
人生MAXの値
体重が人生MAXの値となっている。今の職場に異動してから,6 kg以上増えている。6 kgの鉄アレイの重さを想像してみると,あんなものを身体にいつもつけて動いていることになるわけで,身体への負担は相当なものになっていることはすぐに想像できる。 なぜ太ってしまうのか。それはとにか...
-
本ブログのコメントに, (電力)供給過多になるとなぜ、発電機の回転数が上がるのか というご質問をいただいたので, それについての回答を少し. (すみません,コメントいただいていたのに 気づくのが遅れました) 発電機の回転数は,個々の発電ユニットで見れば, 発電...
-
最近,TRICERATOPSの曲を突然思い出したように聴き出しているのだけれど,いろいろなことがつらつらと思いつくので,それらを備忘録的に書いてみる. トライセラトップスのボーカルといえば,和田唱.彼は私のひとつの理想的なカッコよさ(私には絶対進めない方向のカッコよさ)を体現...
-
Googleをはじめとして, 検索ツールなしでは仕事ができない, というところまで現代の私たちは来てしまった. 特に研究分野においては, 過去の研究のサーベイ,現在の市場調査, 世界の装置のリストアップなど, もう検索ツールの便利さ無しでは, 考えられない状況である. こうした状...
0 件のコメント:
コメントを投稿