私にとって坂本龍馬というのは,どうもとらえどころがない.そもそもあまり興味がなかったから(歴史は不得意),大学生くらいまでどんなことを成し遂げた人かもよく知らなかった.
そんな私だったから,小説「竜馬がゆく」に触れたのも大学院の頃だった.その頃になって私はようやく小説を読み始めたのだけれど,吉川英治の「宮本武蔵」や「三国志」などから始まったので,司馬遼太郎に辿り着くには随分時間がかかった.
武術に興味があるから,まずは新撰組関連の「燃えよ剣」や「新選組血風録」あたりから読みはじめ,その後「項羽と劉邦」に行き,郷里の河井継之助が主人公の「峠」へと進んでようやく「竜馬がゆく」に辿り着いた.しかし,それも周りから「竜馬がゆく」を読まなければ男じゃないみたいなことをずいぶん言われたので,渋々読みはじめた感じである.
もちろん小説は面白かった.でも,坂本龍馬という人物のとらえどころの無さが印象に残った.どうも司馬遼太郎の脚色がすぎるのではないかと思いながら読んでいたからか,みんながいうほど,ヒーローという感じではなかった.
最近,彼は本当に北辰一刀流の遣い手だったのではないかという資料が見つかったけれど,読んでいた頃は龍馬が剣豪だったなんて全然信じられなかったというのもその理由の一つだったのかもしれない(なぜなら手をけがして銃をもつなんて剣豪では考えられなかったから).
むしろこの小説で強く憧れたのは勝海舟や佐久間象山である.特に勝海舟にはその行動力に憧れ,そして皮肉屋なところに親近感を覚えた.「竜馬がゆく」を読んで私にとっヒーローとなったのは勝海舟なのである.
勝海舟についてはまた別の機会に書くとして,今回なぜ竜馬のことを取り上げたかというと,今年は彼の没後150年ということを知ったからである.そして彼は誕生日に暗殺されている(旧暦で.新暦では異なる).今年は龍馬で盛り上がるのだろう.
2017年4月21日金曜日
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