このブログではときどき音楽について記事を書くけれど,意外にもマーラーの作品に関する記事が少ないことに我ながら驚く。こんなにマーラーの音楽を聴いているのに。
最近,テレビのCMでマーラーの第8番交響曲が流れているのに驚いた。マーラーという音楽家は有名だけれど,8番交響曲はかなりマイナーな気がするからだ。
この交響曲は別名「千人の交響曲」などと言われ,大編成のオーケストラと合唱団で演奏されるので本当に千人近い演奏者が必要となるのだ。そのため演奏機会が本当に少ない。CDの録音も他のマーラーの作品に比べぐっと少ないので,そもそも演奏を耳にする機会が少ないのである。
マーラーでさえもこの曲について,自分の作品の中で最大のものだ,と言っているし,「大宇宙が鳴動する」とまで言っている。とにかくスケールがでかいのである。
曲は2部構成なのだけれど,第1部冒頭からオルガンが鳴り響き,「来たれ、創造主たる聖霊よ!」とドカーンと歓喜の大合唱から曲が始まる。最初聴いたときにはびっくりした。レナード・バーンスタインの演奏の映像が残っているけれど,やっぱりレニーは指揮台の上で飛び跳ねている。とにかくすごい圧力なのである(この部分がCMで使われている)。
そのまま曲は盛り上がっていき,第1部が終了する。第2部は,ゲーテのファウストをもとに歌が入り,比較的落ち着いているけれど,曲が長い。1時間弱ある(第1部とあわせると演奏に90分程度要する。CDは通常2枚組)。正直をいうと途中で飽きてしまうこともしばしばである。でもマーラーのポジティブな部分は,彼の人生においてこの曲でピークに達していることは良くわかる。
そして,やはり難解である。私は複数の録音を所有しているけれど,バーンスタインやガリーニ,テンシュテット,ネーメ・ヤルヴィ,インバル,ショルティ,そして小澤などの録音ではどうもすっきりしなかった(レニーのものは迫力は凄いけれど)。それが,ブーレーズの録音を聴いたときに,ようやくいくつかの部分がすっきりと聴けたのである。だから,もしもこの曲を初めて聞くという人には,ぜひブーレーズの録音をおススメしたい。正直,好き嫌いがはっきりする曲だと思うので,マーラー初心者の人はもっと耳にやさしい第1番か第5番の交響曲をお勧めしたい。
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