2008年5月8日木曜日

ノルマがなくてもバリバリやる人

最近読んだインタビュー記事の中に,

「そもそも,ノルマを課さなければ働かないような人を
採用するのが根本的な間違いですよ.
(中略)
経営の面からみれば,(中略)
生産性が低い人たちを管理して,
やる気を出させるために
何らかの施策を打つという部分に
コストをかけるのは間違いです」


という文章があった.
ある若手起業家の発言である.

いや,全くそのとおりの意見である.

でも,しかし.
そうとばかりではいかないのが世の中である.
そんなノルマとは関係なく
バリバリ働く人たちばかりだったら,
誰も苦労はしないのだ.

人は多種多様な価値観を持っている.
仕事に自分の生きがいを持てる人もいるし,
持てない人もいる(そういう人は確かに不幸だけれど).
経営者としては,仕事に生きがいを持てる人だけを
選んで入社させることができたら
どんなに素晴らしいことだろうと思うだろう.

だが一体,仕事に生きがいを
初めから感じることができる人はどれだけいるだろうか.
入社する前に仕事を理解している学生は
ほとんどいないのである.
会社に入ってから,仕事とそして,それに関わる周囲のことを
学んで初めて生きがいを感じることができるのである.
こうした喜びは職場における教育の結果,
得られるものではないだろうか.

一方,大学を考えてみる.
情熱をもって,厳しい受験を乗り越えてきたのだから,
学生はみな,試験などのノルマを課さなくても
バリバリと勉強してよさそうなものである.
だが,現実がそうした理想からかけ離れていることは,
周知のとおりである.

やはり学問の面白さも仕事の面白さ同様,
教育の結果として得られるものである.
しかし,そこまでに至るためのハードルはかなり高い.
教育する方もかなりの努力を必要とする.
すぐに意欲に火がつく学生もいるが,
いつまでも火がつかない学生もいるし,
あるいはついてもくすぶり続ける学生もいる.
そして,後者の方がずっと数が多い.

私が数年前に楽しんで観ていた
「のだめカンタービレ」というドラマがある.
その中で,西村雅彦演じる音楽大学の教授が,

「僕は,やる気のない生徒にやる気を起こさせるほど,
やる気のある教師ではないんだよ」


みたいなことを言うシーンがあった.
非常に印象的だったので今でも覚えている.
自分はどうだろうかと思う.
学生たちの意欲に火をつけるほど,
やる気のある教師だろうか.

やっぱり,ノルマを課さずにバリバリやってくれる学生,
募集しています...

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